2022.5.3
【福井県越前市】醤油麹漬け専門店 麹 神久
今月の食べてみた 醤油麹漬け専門店 麹 神久
こんにちは!
たびふくスタッフのようようです。
まだまだ春気分かと思えばいつの間にか立春を迎え、暖かい日も増えてきた今日この頃。
ビールが美味しい季節がいよいよ到来いたします。
お家での晩酌には美味しいおつまみが欠かせませんよね、、、!
というわけで今回は、簡単調理で本格的な美味しさが味わえる醤油麹漬けをご紹介します!
■実食シーンはこちら!
するめいか実食シーン
3種の鶏肉実食シーン
▶ 「麹 神久」からお取り寄せ
今回お取り寄せした店舗は「醤油麹漬け専門店 麹 神久」さん
昔ながらの製法で、福井に伝わる醤油麹漬けの美味しさを伝える商品の製造と販売を行っています。
たびふくで販売されている「神久の極旨シリーズ」は、 江戸時代の頃から福井県のご家庭で食べられていた伝統の保存食、大根とニシンの麹漬けの美味しさをもとに作られているそうです。
“神久の醤油麹漬けは、代々福井の家庭で受け継がれてきたこの麹漬けの味を再現するべく、試行錯誤のもと、昔からの製法そのままに、100%手作りで作り上げられたものです。 商品には厳選した素材・製法・醤油麹による味の再現など、たくさんのこだわりが込められています。”
店舗では単品商品とセット品が販売されています。
それにしても種類が豊富でどれを注文するか悩みますね。せっかくなので生産者の神谷さんへ一押し商品についてお聞きしてみました!
神谷さん
「ムツの醤油麹漬けはお客様に大変好評で、実際に食べて魚の印象が変わったという方もいらっしゃいます。」
「また、スルメイカは最近使用するサイズを1段階大きくしたので食べごたえがあり、こちらもおすすめですよ!」
ふむふむ、なるほど。生産者のお墨付きとなると、すぐにでも食べたくなりますね。
それでは今回はそれらの商品が含まれる 醤油麹漬け お買い得セット をお取り寄せしてみましょう!
【送料込み】【神久】醤油麹漬け お買い得セット
税込価格: 5,000 円
▶ 商品の到着
数日後、冷凍便で商品が届きました。
プチプチで丁寧に梱包されており、中には黒い化粧箱が入っております。
開封したものがこちら!
大きくてひときわ目を引くするめいかに、
サーモン、さば、ムツ(銀鱈)の3種のお魚。
そして鶏肉も3種類。手羽肉、はらみ、せせり。
合計7種類の醤油麹漬けが入っていました。
パッケージには「極旨シリーズ」の文字。そして表面をよく見ると、米粒や昆布などが含まれる液に漬かっています。
これが神久さんのこだわりの醤油麹!
そもそも麹とは何ぞや?という方のためにご説明を。
麹とは蒸したお米や豆、麦などに麹菌を付着させて培養したもので、味噌や醤油、日本酒などの発酵食品を作るうえで欠かせない材料です。
麹と塩と混ぜて作られる「塩麹」という調味料は見かけることも多いのではないでしょうか?
今回紹介する醤油麹とは、米麹にしょうゆを加えて発酵・熟成させた調味料です。
神久さんでは保存料や着色料を使用せず、100%自社生産の手作りで醤油麹を作っています!
そうして作られた醤油麹は「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」がバランスよく含まれており、その豊かな旨みは、香ばしく芳醇な味を生み出すそうです。
醤油麹の働きによる味の違いにも注目していきたいですね!
商品は凍った状態で届きますので、調理に移る前にまずは解凍します。今回は常温に出しておくこと2時間くらいで解凍が完了しました。
解凍後は冷蔵保管で10日ほど持つようなので、食べる前日に冷蔵庫に移して解凍しておくのも良さそうですね!
▶ スルメイカ食べてみた
解凍ができたところで早速調理していきましょう!
初めにいただくのはオススメ商品のひとつ、スルメイカ。用意したざるからはみ出すほどの大きさです。
手にもって広げるとこのサイズ感。
手のひら1.5人分くらいの大きさです。
一体センチあるのでしょうか、、、?
30cm定規登場
定規で測ってみると、なんと30㎝を軽く超えておりました。
胴体だけでも20㎝あります。
いやはや大きい、、、!とっても食べ応えがありそうです。
今回はちょっとひと手間かけて、炭火で焼いてみようと思います!
炭をおこして
七輪へGO!
用意した七輪からはみ出すサイズ感。さすがの大きさです。
そのまま焼いていると平たかった胴体がどんどん丸くなってきます。
見てください、この迫力!
トングで持ち上げるのも一苦労ですが、ひっくり返して両面をしっかり焼いていきます。
今回は見た目を重視してそのまま焼いてみましたが、ご家庭での調理の際はカットしてから焼くのがお勧めです。
お皿に盛り付けて完成です! 日本酒と組み合わせていただきましょう。
まずは胴体から頂きます。
・
・
・
お、おいしい、、!!
味付けは麹の香りがふわりと香り、醤油の塩味がほのかに感じられる優しい味わいです。
肉厚なイカですが柔らかく、プリッとかみ切れるくらいの弾力があります。
イカのゲソは胴体よりもしっかりとした歯ごたえで、カリっと焼きあがっています。
麹に漬けていることもあり、足の方は特に火が入りやすく焦げやすいので、焼くときにはご注意ください。
醤油麹の風味には、同じく麹から作られる日本酒がとっても合います。
きりっとした辛口の日本酒と一緒に楽しみましょう。
大きく、食べ応えがあるので、日本酒片手にちまちまと、、、
レモンや七味マヨで味変しながらいただくと、これ1品でも最高の晩酌になります!
これが夕飯に出てきたら、全国のお酒好きのお父さんは大喜びですね。
するめいかは単品での購入もできますので、気になった方はぜひ一度ご賞味ください!
■スルメイカの単品はこちら!
▶ 3種のお魚食べてみた
お次に紹介する醤油麹漬けはお魚3種類。さばとサーモンとムツ(銀鱈)です!
特にこの中でも「ムツの醤油麹漬け」は人気商品。期待が膨らみますね。
先ほどのスルメイカは七輪で焼いてみましたが、醤油麹漬けはフライパンでの調理にも対応しています。
簡単調理も魅力の一つですので、これらのお魚はフライパンで調理してみます!
・フライパンを加熱、アルミホイルを敷きます。
・アルミホイルの上に魚をのせ、
弱火で加熱します。
・片面3分~5分ずつ焼いて完成です。
麹は焦げやすいので、火加減に注意しながら焼きましょう。
この調理法であれば、フライパンを汚さずに調理できて、片付けもとっても簡単!
すだちと一緒にお皿に盛り付けて完成です!
こちらの「ムツの醤油漬け」ですが、原料には銀鱈を使用しております。
たらといえば煮付けや鍋物などで良く食べれらているお魚ですが、醤油麹漬けによってどのような味わいに変化しているのか楽しみです。
いただきます!
これは・・・うまい・・・!
初めに口に入れると、鱈のホロっとした身が口の中で崩れ、麹とお醤油の香ばしい香りが広がります。
ふんわりと柔らかい身質
味わっていると次第に魚の旨味が強く感じられて、とっても美味しいです。
しっかりと脂がのっていて他の焼き魚とは一線を画す美味しさでした。醤油麹との相性も抜群です。
じっくりと美味しさをかみしめ、堪能したところで、お次はサーモンに移ります。
サーモンは市販の甘塩のシャケよりも少し塩味は控えめで、甘めの味付けです。
醤油の塩味と鮭のうま味が絶妙で、食べているとついついご飯に手が伸びてしまいます!
1切でご飯2杯は余裕ですね
これが朝食に出てきたら、その日1日頑張れそうだなあ、、、
そしてお魚最後の1切れとなるサバの醤油麹漬け。 こちらも醤油麹の味付けと鯖の風味がマッチしていて美味しいです!
麹の作用によるものなのか、とてもやわらかく、塩焼きよりもどちらかというと煮付に近い食感です。これもご飯がどんどん進みますね。
一通り魚の醤油麹漬けを食べ終えましたが、どの魚もそれぞれ特徴があり、とても美味しい1品に仕上がっていました。
簡単調理で後片付けも楽々なお魚の醤油麹漬け。
普段の食卓にもう1品欲しいとき、冷凍庫にあると役立つこと間違いなしです!
▶ 鶏肉の醤油麹漬け食べてみた
最後にご紹介するのは鶏肉3種。せせり、はらみ、手羽小肉!
ちなみにせせりは首回り、鶏のハラミは腹筋、そして手羽小肉(手羽小間)は肩肉の部位です。
一般的なもも肉や胸肉でなく、希少な部位を使用しておりこだわりを感じられます。はたして部位ごとに味は違うのか、どのような食感なのか、、、楽しみですね。
そのまま焼くだけで美味しく食べられることが醤油麹漬けの魅力ではありますが、他にアレンジ方法はあるのかどうかも気になりますよね!
神谷さんにお聞きしたところ、鶏肉の醤油麹漬けは玉ねぎと一緒に炒めると美味しく、ボリュームも出ておすすめとのことでした。
そこで今回は手羽肉とハラミを炭火焼きに、セセリは野菜炒めでいただきます!
はらみと手羽小肉の炭火焼き
まずは炭火焼きから!
手羽肉とハラミをじっくりと焼いていきます。
油が炭に落ちて煙が上がるたびに、辺りには美味しい匂いが香ります。
そして香ばしい香りは調理場から会社中に広がり、事務所からは「美味しそう~!」という声が聞こえてきます。
(毎度スミマセン、、、!)
そんな罪悪感すら感じてしまう、美味しそうな香りを堪能しながら中心までしっかりと火を通しましょう。
おいしそうに焼きあがりましたら、お皿に盛り付けてレモンを添えて完成です。
手羽小肉から頂きます!
お肉はもも肉と胸肉のちょうど間のような味わいで、あっさりとしていながらもぱさぱさ感はなく、鶏のうま味と醤油麹の味がしっかりと感じられます。
ハラミはホルモンの1種ではありますが、癖は全くありません!少しコリっとした歯ごたえで噛むとジューシーな脂が出てきます。
これまたご飯が進む一品ですね。
醤油麹に漬けた効果からか、どちらのお肉もとても柔らかくうま味が強く感じられます。
しょっぱすぎず、薄すぎず、味付けが本当に絶妙ですね。
おつまみとしてもおかずとしても満足できること間違いなし!
美味しいお肉でビールもすすみます。
炭火で焼いたお肉は格別ですが、もちろんフライパンでも調理ができます。
味付け不要で解凍して焼くだけなので、あっという間に一品作ることができますよ!
せせりとお野菜の炒め物
そして最後は醤油麹漬けを使用した野菜炒めを作っていきます。
今の時期が美味しい新玉ねぎ
玉ねぎ1玉と、鶏肉のせせり。そして冷蔵庫に残っていたお野菜少々で作っていきます。
・フライパンを温めて薄く油を引き、まずはお肉だけ弱火で加熱します。
・お肉に火が通ったらいったん取り出し、野菜を入れて加熱します。
・野菜がしんなりしてきたらお肉と合わせ、軽く炒めます。
・塩コショウで味を調え、お皿に盛り付ければ完成です!
ただの野菜炒めと侮ることなかれ。
玉ねぎや人参などの香味野菜がお肉の美味しさを引き出していますよ、、、!
せせりは弾力があって、他の2種よりもプリッとした歯ごたえが特徴的です!
醤油麹に漬けこまれているだけあって、野菜と一緒に炒めてもお肉にしっかりと味が付いています。
ただし袋に残っている醤油麹だけでは野菜が少し薄味に感じますので、塩胡椒や醤油など、調味料を足して味付けをしてくださいね。
そのまま焼いても、アレンジしても、とっても美味しくいただける鶏肉の醤油麹漬け。
これから温かくなり、BBQのシーズンも近づいてきますので、焼くだけですぐに食べられる、準備いらずのこの商品はとても重宝しそうです!
▶ まとめ
今回「醤油麹漬け専門店 麹 神久」さんでお取り寄せした。醤油麹漬けお買い得セット。
味わいは全体的に優しく、麹由来のうま味もしっかりと感じられて大変美味しい商品でした!
中でもするめいかは食べ応えがあり、「いつでも晩酌できるように冷凍庫にストックしておきたい!」と感じるほどの美味しさでした。今回の私のイチオシ商品です。
また、今回ご紹介した「醤油麹漬け お買い得セット」は化粧箱に入っており、父の日のプレゼントにも最適です。日ごろの感謝を込めて、お酒好きなお父さんへ贈ってみてはいかがでしょうか?
簡単調理でおいしくいただける醤油麹漬けはそれぞれ単品でも販売されており、お買い求めやすい「お試しセット」もありますので、気になった商品があればぜひお気軽にお買い求めください!
▶ 今回ご紹介した商品
▶ お店を見る
▶ 旅する久世福e商店でおつまみを堪能
久世福商店が運営するお取り寄せサイト「旅する久世福e商店」。通称「たびふく」なら、美味しい商品を全国から安心してお取り寄せいただけます。通販のご利用が初めてのお客様も、是非たびふくでお取り寄せグルメをお楽しみください。
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―【宮城県仙台市】陣中
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みなさん、こんにちは。たびふくの旅人「とど」です。
さぁさぁ、やって参りました。たびふく大好評企画「〇〇食べてみた」!今回は満を持しての登場、スタッフの間でもこの美味しさは絶対に伝えなければと話題の超肉厚牛タンのご紹介です。
レポートの目次
陣中さんからお取り寄せ
開封してみた
観察してみた
焼いてみた
定食つくってみた
AJIHEN☆してみた
おわりに
注文するのは、牛タン発祥の地・仙台に直営店舗と工場を構える、陣中さん。
今回は、こちらの「仔牛の牛タン丸ごと一本塩麴熟成300g」をポチっと注文してみましょう。
►仔牛の牛タン丸ごと一本塩麴熟成300g 税込価格: 4,500 円
※追記(2021年10月)> 商品規格の変更に伴い、「仔牛の牛タン丸ごと一本塩麴熟成300g」 の販売は終了いたしました。現在は【120g / 240g / 620g】の3種類を販売しておりますのでこちらをご覧ください。
↓
仔牛の牛タンはこちら
:数日経過:
開封してみた
冷凍便で無事に到着。仙台から長野へ、ようこそ!
\牛タン専門店/
箱を開くと…
「1人でも多くの人に伝えたい」
…伝えましょう、この想い。
開いてみるとこんな感じ。
綺麗なお箱に包まれた牛タン。
コンパクトにまとまっていますね。
おいしい焼き方、虎の巻も添えられています。
さらに、牛タンの箱を開けていきましょう。
ぱか
じゃん!
どーん!
今回は、冷凍で届いた物を前日の夜に冷蔵庫に移し替えて解凍しました。電子レンジやお湯を使った解凍は適さないとのこと。お急ぎの場合は真空パックのまま流水解凍が◎ 解凍が完全ではないと焼きムラが出て美味しく焼けないのだそうです。確実に良い状態で解凍を完了させておきましょう!
観察してみた
さ、まずはじっくり観察していきます。真空パックから取り出してみるとこんな感じ。
丸ごと1本!
すべてのタンがスライスしてあり、さらに1枚1枚に丁寧に目入れが施されています。楽チンで、且つ、職人さんが一番美味しくいただける状態に仕上げてくださっている点も評価ポイント◎ですね。 こちらの説明書を見てみると、タン先・タン中・タン元の3部位に分かれているようです。
部位によって、色味や脂の入り方が違いますね。
そして、この厚み。
…???…コレハ、ギュウタンデスカ?
思わず困惑のぶ厚さ。こんな時こそおいでませ、「アーイフォーンさーん!!!」:「ハーイ!!!」 前回、生牡蠣のサイズ比較でも登場したiPhone12(カバー付き)さんに駆けつけていただきました。いつもご協力ありがとうございます。
1枚のサイズ感はこんな感じ。
厚みはこんな感じ。
カバー付きなのでややぷっくりしているiPhoneですが、牛タンはこの2倍くらいの厚さがあります。大体2㎝くらいでしょうか。 3つの部位を並べてみるとこんな感じです。
タン先が明らかに他と違いますね。
それぞれどんな味わいなのでしょうか。(どきどき)
焼いてみた
一通り観察を終えたところで、いよいよ焼いていきましょう。今回は、一家に一台!「ホットプレート」を使っていきます。 溝のあるタイプの方が美味しそうに焼けるかな?と考えていましたが、今回はあえて、平らなスタンダードタイプをチョイス。この理由は後ほど明らかに…。
テフロン加工であれば油はひかずにOKなのですが、心配なのでさーっと薄くぬりぬり。テフロン加工以外のフライパンやプレートで焼くときには、必ず油をひきましょう。(薄~くネ!)
牛タンをおいしく焼くためのの3ステップは、 ❶片面を中火で約2分。❷裏返して弱火で約2分。❸焼き目が付いたら火を止めてそのまま約1分、余熱でゆっくり熱を通す。 ということで、まずはタン先から焼いていきましょう!
じゅっ
私は基本的に、料理をするときはタイマーや計量器を使いたくない感覚人間(つまり雑)なのですが、今回はしっかりと時間計測をして説明書に従っていきます。
(チッチッチッチッ…)
じわじわ…良い感じですね。 2分経ってひっくり返してみると…
おぉ!
ぺろりん、というより、ごろりん、という感じ。
横から見てもこの厚さやどっしり感が分かります。 裏面も2分しっかり焼けたようなので…
カットの儀式。
(わぁお…)
若干生っぽく見えるのは、先ほど説明書通りにと誓ったくせに結局余熱する1分間が我慢できなかった私のおろかな過ちです。想像以上に分厚いのでみなさま余熱は怠らずにお取り組み下さいませ!(反省)
この後じんわりと余熱が入りましたので、いざ実食です。
パクッ
…「コリ、コリ、もきゅ」 う~ん、美味しい~!タン先はいわゆる牛タンらしさがあり、歯ごたえをしっかり感じることができます。が!コリコリなのに、柔らかい。いや、歯切れが良い、という表現が正しいでしょうか。これは満足度の高い一口です。 塩などの味付けは一切不要。塩麹を使った秘伝のタレにじっくりと漬け込んでおり、さらに低温熟成をすることで、牛タンを柔らかく仕上げ、素材本来の濃厚な旨味を引き出されているのです。
さぁ、他の部位もじゃんじゃんいってみましょう。
続いては、タン中。
片面2分でひっくり返します。
…おおおぉ。なんて美しいのでしょうか。画の強さたるや。焼いても縮まず、厚くてまるでステーキのようです。 ここで、美味しく焼くポイントのご紹介!(メモのご用意はOKデスカ?) 牛タンを焼き進めていくと、肉汁(旨み)が溢れ出しますので、牛タンを動かしながら肉汁をまとわせるように焼いていくのが肝。
脂を拭うように、くるくる。
次から次へと出てくる、ジューシーの素を絡み取っていきます。 そうです。私はこれを見越して、平らなホットプレートをチョイスしたのです! (勝ち組)
\一滴たりとも逃してなるものか!/
こうして良い感じに焼きあがったタン中。
きらっきら…ま、眩しい…
タン中のお味はというと、 パクッ… (時が止まる) この美味しさに集中したく、目を閉じて牛タンと私だけの世界へ。 一番驚いたのは、一口噛んだ瞬間に口の中にバターの香りがふわぁっと広がったこと!ミルキーな柔らかい甘みがあり、バターでも練りこんだのか!?と思うほど、コクを感じます。そして、厚みがあるのに歯でストレスを感じずサクッと噛み切れる。ジューシーでぷりっとした肉感に、歯が喜びます。 タン先とは色味、香り、味わいがまた全然違いますね。これは参りました。(お手上げ!) そう、今回いただいている陣中さんの牛タンは、 “ミルクフェッドヴィール”と呼ばれるミルクだけで育った仔牛のタンなのです。 なるほど!だからこんなにミルキーでぷりっとした食感を楽しめるのですね。これは食べて納得、面白いなぁ~。 さぁ、最後の部位は、タン元です。
見るからに脂のノリが良い…極上の霜降り。 ―以下、破壊力抜群の牛タンの様子をお送りいたします―
分かりますでしょうか、この脂…タン元は、タン中よりさらに脂がノリノリです。 タンって、脂がないさっぱりとしたイメージでしたが、このウッドボードに広がる脂の量…すごくないですか?
タン中同様、(それ以上に?)甘みもあり、ミルク感も口いっぱいに広がります。 ここで気が付いたのが、部位の中でもさらに左右で味わいが違うということ。コリコリが強い方と、ジューシーで柔らかい方、1枚のタンでも食べる場所で異なりますので、これは神経を研ぎ澄ませてお召し上がりいただきたいものです。
こうして、3部位の食べ比べが完了。 いわゆる牛タン!が好きな方は、タン先のコリコリ、噛み応え感を楽しんでいただくのが良し。牛タンの新たな感動に出会いたい方はタン中を。ホルモンや脂身などが好きな方はタン元がおすすめ。 ちなみに私のベスト牛タンは…悩ましいですが、、タン中です!脂のノリ具合、味わい・香り・厚み、トータル的なバランスが一番好きだなぁ、と。それぞれの部位の良さがありますので、これを自宅でゆっくり比較しながら楽しめるのは幸せなことですね。:続いて、ホットプレートと網焼きでの焼き上がりの違いも比較していきたいと思います。
今回は簡易に、網にのせて。
じっくりと焼いていきます。
(なんて美しい…)
\焼きあがりました/
時間をかけてゆっくりと火が通り、脂が少し落ちてギュッと引き締まった感じがします。旨味凝縮感…香ばしさがたまりません。これはこれで美味しいなぁ… 炭火で焼いたら、さらに美味しさが増すのでしょうね。お家に七輪がある方は、ベランダでじっくり焼いて楽しむのも乙。最高の夏を味わえますよ!
定食つくってみた
味比べ、焼き比べを楽しんだ所で、まだまだ残っている牛タンたち。ここからは、おうちでTHE・牛タンを楽しむべく、なんちゃって仙台牛タン定食を作っていきたいと思います! 今回用意したのはこちら。
コンビニやスーパー、冷蔵庫の隅っこからかき集めてみました。 仙台牛タンの誕生は昭和20年代、時はまさに終戦直後の混乱期。牛タン定食に並ぶ、一つ一つの食材には理由があることが分かりました。(諸説あります)
▲麦飯戦後の食糧難、米不足が反映されている。
▲とろろ某牛タン有名店が、麦飯にとろろを加えて女性に支持されるよう提供を開始。
▲テールスープ戦後、駐留米軍が食べ残した牛肉の余剰部分(タンやテール)を有効活用。 ちなみに今回は、ビーフコンソメを溶かしてネギを浮かべただけのなんちゃってスープを作りました!
▲南蛮みそ仙台牛タン定食を生み出した料理人の出身地、山形県の伝統料理。 スーパーで購入できなかったため、青唐辛子を買って、ごま油・味噌・みりん・砂糖を合わせてさっと炒った、特製味噌を用意してみました。(簡単でおすすめですよ!)
▲浅漬け冷蔵庫が普及する前の時代、生野菜の代替品として。 : 牛タン定食には日本の歴史が深く反映されているということを知りながら、最終盛り付けを進めていきます。
よいしょ
よいしょ
これで準備は万端です。あとは焼きたて牛タンをのせるだけ!
3部位を1枚ずつ…
じゅううぅうー
無事、焼きあがりました!
それぞれ半分にカットして(肉汁!肉汁!)
盛り付けていきましょう。
じゃーん!「おうちで仙台旅する気分定食」完成!!
おうちで手軽に、こんなハイレベルな定食が食べられるなんて、素晴らしくないですか?
見ているだけでも幸せな気持ちになりますが、温かいうちにいただいていきましょう。
\いただきます/
まずは麦飯に、
ワンバン!!!!!
※わん-ばうんど【ワン・バウンド】‐ごはんの上に、肉汁やタレをまとったおかずを一度着地させた隙に味付けを施したのち、一呼吸おいてからお口の中に運ぶ幸せな食べ方のこと。
麦飯のプチプチと…牛タンのコラボレーション…どうもありがとうございます。
さらに、とろろも…
とぅぁーーーー
ありがとうございます。
牛タンと 麦飯とろろは オトモダチ。 -牛タン心の一句
このなんちゃってテールスープもばかにならないもので。ビーフコンソメって普段あまり使わないのですが、う~ん、なかなか良いものですね。 仙台旅行をしみじみと思い返しながら、スープがじんわり胸に染み渡っていったのでした。
AJIHEN☆してみた
最後に、定食をいただきながら、AJIHEN☆(味変)選手権を開催させていただきます。 今回エントリーされたのはこちらの6名!
整列っ!
エントリーNo.1
「主役は、お肉です。長野県民の心の友・八幡屋磯五郎の七味唐辛子ぃぃぃぃ」
これは間違いない。ピリッと程よい辛味が牛タンにマッチ。 エントリーNo.2「ほんの少しで絶大な威力、緑色の支配者・生わさびぃぃぃぃぃ」
うーん!脂との相性がよく、バランスよくまとめてくれます。
エントリーNo.3「黒い点々はお好き?キッチンの番人ブラックペッパァァァァー」
あらびきが◎良いアクセントです。
エントリーNo.4「柚子の香りと唐辛子の刺激でみんながトリコ・柚子胡椒ぅぅぅぅぅ」
これもまた…さーっと爽やかな風を吹かせてくれますね。Nice!
エントリーNo.5「スーパーに売ってなかったから思わず夜中に作っちゃったよ・南蛮みそぉぉぉぉ」
唐辛子の主張が強いながらも、牛タン、麦飯とろろを繋ぎ合わせてくれるような存在。 エントリーNo.6「実は仙台牛タンを食べるときは使わないらしいけど焼肉に行くと牛タンにはマストだよね・レモンンンンン」
キューっと絞って。さっぱり!
出場者のみなさん、いずれも牛タンとの親和性は高く、非常によいアクセントをもたらしてくださいました。どれも悩ましいですが… 第1回AJIHEN☆選手権、優勝者は…
「何もつけないのが一番好き」
\どっかーん!!!!/
はい。大変申し訳ございません。これが素直な感想です。みなさん素晴らしいAJIHENではありましたが、個人的には、そのままでいただくのが最も牛タン本来の良さやミルキーな味わいをしっかり感じられるな、と気づいてしまった次第です。それくらい、素材の味が本当に素晴らしくて…。 とはいえ好みは人それぞれ。 ぜひ、みなさんもAJIHENを楽しんでみてくださいね。
おわりに
大満足な牛タン体験。当初は、送料込みで4~5,000円はちょっと高いかなー、購入は迷うなー、と感じていましたが、改めて振り返ってみると、極厚な牛タンが全部で8枚。これを1/2カットにするので全部で16切れ。1枚1枚にボリューム感があるので、1人6切れで十分に食べ比べができ、満たされる=1箱あたり2~3人前と考えれば、十分納得のお値段だと感じました。 何よりも、中々出会うことのない、ちょっと特別な仔牛の牛タン。この極上の味わいと感動は、生きている中で一度経験する価値があります。どうか、この幸せを1人でも多くの方に感じてほしい。(切実) 周りにお肉好きな方がいらっしゃれば、プレゼントにも喜ばれることでしょう。(冷凍なので食べるタイミングも気にせず安心◎) みなさん、ぜひ、お試しくださいね!
その手に光る黄色い液体は…
あれ…!?
牛タン片手に、口元がゆるんでいる私。まさか、ビールを…?! 飲んでみたレポートもお楽しみに。To be continued..
気になる商品をチェック!
仔牛の牛タン丸ごと一本塩麴熟成120g税込価格: 2,300 円
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お店を見る
- 奇跡の醤

—東北編
商店会長の旅日記 八木澤商店
とにかく東北で出会う人出会う人、パワー漲る個性豊かな素敵な人ばかり!岩手の陸前高田で出会ったのは、八木澤商店社長の河野さん。
八木澤商店:1807年に八木澤酒造を創業したのち、大正年間にしょうゆ醸造業を兼業。昭和35年に株式会社八木澤商店となり、全国醤油品評会でも受賞を重ねる由緒正しき伝統あるお醤油やさん。
その日はまだまだ暑さの残る日。汗をじんわりと滲ませながら、必死の想いで久世福e商店街についてお話をさせていただくと…「これは楽しい!おもしろい!」と、少年のように目をキラキラさせながらすぐに賛同してくださった河野さん。(こんな反応をいただけると、あぁ、長旅をした甲斐があったと思えます…)
その場の一同、話が弾んで汗も一層ぽたぽたり。河野さんの口からはお仲間の素敵な生産者さんの名前が次々と。「あれも!」「これも!」「ここが繋がったらこんな面白いことに!」と、話しているだけで私たちもわくわくしてしまうような、全身でパワーを発するキラキラ河野さん。熱いエネルギーをいただいて、こうやって一つの出会いから繋がりが生まれていって、商店街が出来上がっていくんだなという実感を得ながら過ごしたひととき。 そのあと一緒に工場案内をしてくださった加藤さんをはじめ、みなさん自然な笑顔と温かさをもつ、心地よい空気感のある場所、それが八木澤商店でありました。
少し車を走らせて、工場を見学させていただけることに。無事到着したものの、朝食で納豆を食べてしまったY田さんは何故か立ち入り禁止に!?! はい。そうなんです、醤油蔵には麹菌たちが住み着いているのです。納豆菌は立ち入り禁止よ、ということで、Y田さんはお留守番。(食べなくてよかった!!?) … 大豆や小麦などの原料から、瓶詰めの行程など丁寧にご案内いただき、中でも、もろみを搾る作業は圧巻。
木製の搾り機にもろみを流しいれるのですが、一度にすべて流すのではなく、1枚1枚布でくるんで、100段重ねを×4列。息の合ったお2人が、流れるようにテンポよく作業を進めていく姿は大変美しいものです。
次第にもろみ自身の重みで押しつぶされていくため、隙間からちょろちょろとお醤油が溢れていきます。最終的には、上からしっかりプレスしていくとお醤油が搾られるのですが、この火入れ前の搾りたて生醤油を少し舐めさせていただきました。
穀物のシンプルなうまみと甘みがあり、とっても柔らかくてマイルド。淡く儚く、やさしさを感じる味です。ここからまた手を加えて、更に深く味わいが変化していくのが発酵食品の面白いところ。これもまたよし、あれもよし。 …
一通り見学した後、外に出てみると大きなタンクがずらり。実はこの中にはもろみが。
「天然醸造方式」を用いて醸造しているとのことですが、天然醸造とは…もろみを醗酵・熟成させる期間、一切自動で加温させずに、自然の気温のみで醗酵させる昔ながらの醸造方式。外気の気温が上昇する夏場を二度経過させることにより醗酵・熟成期間が増し、塩かどがとれ、まろやかで口あたりが良い醤油本来のふくよかな味と香りが生まれるそう。手間と時間がかかる=製造コストもかさみますが、最も良い状態で醤油を造るという、造り手の信念を感じます。 「外気温や空気はこの土地にしかないもの。風土が反映されている醤油なんです。」そんな言葉が印象的でした。 そして何より、この中に入っているもろみは、“奇跡のもろみ” なのです。 東日本大震災で岩手県陸前高田市内は壊滅的な被害を受け、大津波は八木澤商店の工場外壁だけを残して、すべてを流し去りました。その中で、いくつもの偶然や出会いが重なり奇跡的に見つかった震災前のもろみ。これが培養されていき、命を繋いで今ここにあるのです。
奇跡のもろみを搾って造られる「奇跡の醤」のストーリーはこちらから
この日記などにはとても記すことのできない、たくさんの想いが八木澤商店にはありました。ぜひ一度お店を覗いてみてくださいね。
東北にて2020年8月
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- 魅力再発見!
懐かしくて新しい
島根のつくり手を巡る旅
今月の特集
4月は島根のつくり手をご紹介します!
►特集の一覧はこちら
現存する日本最古の歴史書『古事記』にも、数多くの神話の記述が描かれている島根県。北側は日本海に面し、県土の8割が森林からなるほど山深く自然豊かな土地で、人々は古の時代から脈々と独自の文化を育んできました。この地に根ざす個性豊かな産業にフォーカスし、温故知新な島根県の魅力をご紹介します。
浜田といえば、やっぱりノドグロ!
https://youtu.be/guGM6xFoFZ8
■獲れたての鮮魚のおいしさを閉じ込めて
長い海岸線が続く島根県。その西部に位置する浜田市は、山陰地方有数の水産都市として知られ、浜田港は全国に13しかない「特定第3種漁港*」でもあります。
*利用範囲が全国的な漁港のうち、水産業の振興のためには特に重要であるとして政令で定められた漁港。
なかでも高い漁獲量を誇るのが、いまや高級魚の代名詞ともされるノドグロ。体が赤く、正式名称はアカムツですが、喉の奥が黒いことからその名がつけられました。一説によると、この呼び名は浜田市の漁師が付けたとか。2009年にはノドグロが“浜田市の魚”として認定され、さらに2014年には、全米オープンで準優勝した島根県出身のテニスプレイヤー・錦織圭選手が「ノドグロが食べたい」と発言したことで、その知名度が一気に全国へと広がりました。
特徴は「白身のトロ」とも称されるほど豊かな脂と上品な味わい。水揚げ自体は日本海沿岸を中心に各漁港で行われますが、特に隠岐島周辺から対馬にわたる山陰沖は脂質に富んだ甲殻類、プランクトンなどが豊富な好漁場であることから浜田市のノドグロは脂のノリが見事で、深く濃い旨味と口いっぱいに広がる甘さが楽しめます。8月から翌年5月に水揚げされる80g以上のサイズのものは「どんちっちノドグロ」とブランド化され、高値で出荷されています。
一方で、脂質は酸化しやすいという難点も。ノドグロは鮮度が命の魚でもあるのです。
「魚は鮮度が落ちると旨味成分であるアミノ酸が急激に減少するので、その前に加工することが一番です。私たちは目の前が漁港という地の利があるので、水揚げされたものをすぐに工場に運んで生魚のまま加工することができます」
こう話すのは、浜田港から歩いて5分ほどの場所に工場を構える「株式会社シーライフ」の代表取締役・河上清志さん。浜田市は干物加工の歴史があり、古くから干物加工場が軒を連ねているなかで、同社は2006年創業と後発組ではありますが「この地で獲れた新鮮な魚のおいしさを広く届けたい」という河上さんの思いによる丁寧な加工技術と素材へのこだわり、そして独創的な企画力で一線を画す存在です。
創業時から手がけてきた干物加工は主力商品で、取材時も工場では5,000匹のノドグロの干物が製造されていましたが、近年、ユニークな発想力から生まれた新たな商品が売れ行きを伸ばしています。それが、浜田港に揚がった未利用魚を使った水煮缶詰「今朝の浜」。未利用魚とは、規格外のサイズや干物には適さない魚種ゆえに有効活用されない魚のことです。
「魚のサイズが小さすぎても大きすぎても干物などの加工品に向きませんし、浜田港は豊富な魚種が水揚げされますが、昔は小さな魚屋がまちなかにたくさんあって買い取ってくれていたものの、なくなってしまった今は“ハンパもの”が余るようになっていました。そこで、缶詰として付加価値をつけて商品化することに目をつけたのです」
“ハンパもの”ゆえに数量は多くは作れませんが、それこそが逆転の発想だそう。
「数量限定だからこそ、付加価値や希少価値がつきます。手間がかかる分、面倒くささはありますが、大手ではできない小さな会社が生き残る道です」
■規格外の魚との出合いは一期一会
毎朝変わる獲れたての旬の魚を、天然塩のみを使って缶詰にします。一つひとつの鮮魚のうろこや背びれ、内臓を取ってきれいに洗い、ぶつ切りにして缶に詰めたら、蓋をせずスチームコンベクションへ。10分ほど蒸し、その煮汁を捨てることで魚の臭みを取り除きます。これは魚の煮付けを作る際、熱湯をかけてぬめりや臭みを取る工程から得たアイデアだそう。
「水煮は素材の味がそのまま出るので、醤油や味噌といった調味料の味付けでごまかせません。せっかく生魚のおいしい状態で加工するので、細部まで妥協せずに一工程加えることでワンランク上の商品ができあがります」
加える塩にもこだわりが。魚は水揚げされた海域と同じ産地の塩が合うそうで、浜田港の海水を汲み上げて作られた地元産の塩を使っています。ミネラルが豊富で塩辛さはなく、まろやかな旨味がある粗塩です。決して安価ではないこの塩を1gと水を加えたら、真空状態で缶に蓋をする機械へ。ここまで全て、一つひとつ手作業で行われます。
蓋の締まり具合を確認したら、圧力釜に入れて約125℃で40分ほど圧力をかけて完成。高温で高圧をかけるので、缶の中身は骨の存在もわからなくなるほど柔らかくなり、魚のおいしさをそのまま楽しめるうえ、栄養も丸ごと摂取できます。1回で作れる数は160缶。トータルで1日500缶ほど製造することができます。
「朝、水揚げされたものは5時間ほどで缶詰になります。原料は鮮魚しか使わず、鮮度が落ちる前に加熱しておいしさを閉じ込めるので、獲れたての味が楽しめるのが缶詰の一番の強みです。これ以上おいしくなる製造方法はありません」
また、河上さんいわく「水揚げされて捨てるものはない」そうで、たとえ5缶でも10缶でも獲れた魚は缶詰にするそうです。
「小さな機械なので数量は関係ありませんし、いろいろな魚種を集めて一度に作ります。毎日さまざまな魚が水揚げされるのは楽しいですし、そうした魚を缶詰にしている会社は日本にありません。日本初というのが、この仕事の面白さですね」
ちなみに、今まで意外だったおいしい魚を尋ねると「エボダイやヤガラ」との答えが。ヤガラとは細長く個性的な姿の白身魚で、大きなものは高級魚として扱われますが、小ぶりなものは流通されないため缶詰にしたところ、上品な旨味のある味わいだったとか。なかなか世の中に出回らない珍しい魚との出合いがあるのも、産地ならではの魅力です。
■水煮缶でノドグロの丸ごとのおいしさを
もちろん、未利用魚だけでなく、ノドグロやカレイといった浜田港が誇る魚、アジ、ブリ、サバといった定番の魚の缶詰も作っています。
「ノドグロは干物や塩焼き、煮付けはよく食べられていますが、水煮はありません。水煮にすると純粋にノドグロの味が煮汁に出ますし、そのまま料理にも使えます。1缶180gというボリュームも、十分食べ応えがあります」
河上さんのおすすめは、ノドグロの水煮缶を煮汁ごと使った炊き込みご飯。骨も柔らかく、安心して食べられます。取材時は、工場でちょうどこのノドグロの缶詰を製造していました。
ちなみに、このサイズのノドグロの場合、仕入れ価格が1匹1,000円ほどで、この日は40匹を仕込んで33缶ができあがっていました。「単価から考えるとどうしても缶詰の価格は上がってしまいますが、それだけの価値はある」と河上さんは話していましたが、手間ひまも考えると、1缶1,080円という価格はむしろ良心的といえます。
なお、缶詰製造は2016年から開始した新規事業ですが、最初から軌道に乗っていたわけではなかったそう。1年間は試行錯誤の連続で、鮮度や0.何mmという機械の調整具合で何度も製造時に缶詰が爆発したり、圧力釜の時間調整が長すぎたり短すぎたりと、何千回も失敗したのだとか。魚種や時期によっては圧力をかけることで缶の中身がなくなって骨だけになったこともあったそうで、県産業技術センターの研究員と1年間かけて試験を繰り返し、料理人からもアドバイスを受け、苦楽をともにした従業員の皆さんの支えもあり、やっと現在のノウハウを得たそうです。
「いろいろな苦労があったからこそ、経験値を積まないとよいものができないとわかりました。干物も3種類の国産塩を使って無添加で仕上げていますが、酸化防止剤不使用で変色しやすいため、商品の回転率を考えながら製造しています。小さな会社で小回りが効くからこそ、これからも大手にはできない冒険に挑戦していきたいですね」
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山陰で醸す伝統の旨味。個性豊かな醤油蔵探訪
https://youtu.be/TkoMEwhPFns
■地域に根ざした昔ながらの木桶仕込みによる醤油
さて、ノドグロの加工は、干物や缶詰だけにあらず。浜田市の東、県中部の広島県境に位置する邑南町(おおなんちょう)で醤油や味噌を造る「有限会社垣崎醤油店」では、特製の味噌にノドグロの粉末をブレンドした旨味たっぷりの「のどぐろおかず味噌」を製造しています。
邑南町は県内で最も面積が広い町でありながら、その9割近くを山林が占める中山間地域。ハンザケ(国の天然記念物オオサンショウウオ)が多く生息し、とある調査によると町民と同数の数がいるのだとか。夏にはゲンジホタルをはじめとする数々のホタルが乱舞します。
そんな自然豊かな邑南町で唯一の醤油蔵である「垣崎醤油店」は、大正10(1921)年、廃業した酒蔵と桶を買い取って創業し、以来100年間、変わらぬ木桶による醸造を手がけてきました。薄暗く冷んやりとした蔵の中をのぞくと、杉でできた大きな木桶がずらりと23本。独特の発酵の香りと相まって壮観です。柱や天井、桶にはびっしりと酵母菌が張り付き、酒蔵時代から続く長年の醸造の歴史を物語っています。この蔵付酵母が蔵独自の味や香りを造り出すのです。
「木桶仕込みは蓋をせず開放状態なので、仕込んでから水分が蒸発し、凝縮したような濃い味の丸みのあるやわらかい醤油ができます。最近、そう感じるようになりました」
こう話すのは、4代目の垣崎宏次さん。東京農業大学で醸造を学び、醤油を造り始めて今年で10年になるそうですが、その言葉からは発酵の奥深さを感じます。
土壁の蔵は夏場でも気温が30℃以上には上がらないため、醤油は木桶で1年半から2年、長いものは3年ほどかけてゆっくりと発酵が進むのだとか。その結果、落ち着いたまろやかな味わいになるのです。
木桶は初代から引き継ぎ、丁寧に手入れをしてきたもの。空になると桶が乾燥して割れてしまうため、醸造が終わったらすぐに次の仕込みをしています。
「桶を新しくすると醤油の味が変わってしまうので、変えることはできませんね。地元のファンの方においしいといっていただける醤油の味をなるべく変えんように、いつも同じ品質の出荷を心がけています。発酵は目に見えないので、なかなか同じものを造り続けるのは難しいんですけどね」
ちなみに、垣崎さんによると、島根県は出雲市や松江市を中心に醤油蔵の数が多く、県内に50数社があるのだとか。人口対比では日本で2番目に多いといわれているそうです。「田舎で閉鎖された地域だったことや、島根の流通の悪さによって、今も多くの醤油蔵が残っているのかもしれません」と垣崎さん。昔は地域ごとに醤油蔵があり、それぞれの土地の味を醸していたそうで、邑南町にもかつては何軒もあったそう。
流通も、大手の醤油メーカー5社が国内シェアの半数以上を占める分、島根県にある小さな蔵は地方色豊かな醤油を生み出すことで、地元の食文化に根ざしてきました。しかも、島根県の醤油蔵は今なお昔ながらの木桶仕込みをしているところが多いそう。現在、日本に流通する醤油で木桶を用いて生産されたものは1%に満たないといわれており、島根県全体の醤油蔵の個性やこだわりを感じます。
味わいとしては、全県的に甘口の醤油が好まれるそうですが、出雲市や県東部地域では再仕込醤油というドロっとした濃厚な色や味の醤油も造られ、それを刺身につけて食べられているとか。ただ、海から離れた邑南町には再仕込醤油の文化がないため、刺身にも、お浸しや冷奴などにも、さらっとしていて甘くさっぱりとした醤油が使われています。
■国産原料にこだわり、麹から全て自社製造
さて、冒頭の「のどぐろおかず味噌」をご紹介する前に、まずは垣崎醤油店のスタンダードな醤油をご紹介しましょう。地元の人たちに古くから親しまれているのが、甘口の「木桶仕込み」。「この味でないと」という人も多く、取材中もまとめ買いをしていく人の姿が見られました。そして「添加物が少ない醤油がほしい」との要望を受けて最近造られるようになったのが、さらっとした辛口本醸造の「醸魂」。木桶で2年発酵熟成させた深みとコクが感じられる商品です。
原料の大豆は3年前から全て国産に。一部商品は県産の丸大豆も使っています。以前は外国産の脱脂加工大豆を使っていましたが、「よい醤油は国産原料で造るのが当たり前」という考えから切り替えました。小麦は山口県産です。
また、以前は醤油の原液である生揚醤油(搾ったまま熱処理などを施していない状態の醤油)を購入して醤油を仕込んでいましたが、現在は全量自社醸造スタイルを徹底しています。仕込み水もかつては井戸水を使用していましたが、枯れてしまったこともあり、現在は天然水を汲みに行っています。
一方、初代から変わらずこだわり抜いてきたのが、醤油造りの工程で一番重要とされる麹造り。3日間かけて製造します。2016年には麹造りの工場と機械を新調しました。
「全部自社で造っていることは自分たちの自信にもなるので、社員全員の意見で『やるからにはとことんやろう』と全量自社醸造に変えました。原料から自分たちでわかるので安心安全ですし、仕込みに手間がかかる分、商品に愛着が湧きます。麹を造っているメーカーも少なくなった今は、差別化によって売り込みもしやすくなりました」
こうして従業員の活発な意見交換から生まれたのが「のどぐろおかず味噌」です。島根県の名産を使った商品開発をめざし、試行錯誤の末に完成したのだとか。ノドグロの風味が広がる甘辛味噌で、温かいご飯や焼きおにぎり、豆腐、きゅうりなどによく合います。ノドグロの粉末は、先にご紹介した「株式会社シーライフ」の加工によるものだそう。地域のつながりも感じられます。
このほか、醤油・みりん・砂糖と国産ショウガをブレンドし、これ1本で煮魚が誰でも手軽においしく作れる「煮魚名人」という商品も。魚の切り身に「煮魚名人」を浸してラップをかけ、500Wの電子レンジで3分温めるだけで煮魚の完成です。価格も手頃で、島根県の生協で若い主婦層から人気を集めているそう。垣崎さんのおすすめはノドグロの煮魚。島根ならではの郷土の味ができあがります。
■この先も変わらない味を守り続けるために
「全て自社醸造に変えたことでしんどいこともありますし、麹造りをしている間は夜中の管理も大変ですが、陸上の長距離選手をやっていたこともあるので、しんどいことは嫌いじゃありません。ドMなんで(笑)」
明るい笑顔で、こう自らの醤油造りを振り返る垣崎さん。着用している会社の制服には背中に「醸魂」の文字が書かれています。これは商品名でもあり、2代目にあたる垣崎さんの祖父が晩年に書いた言葉で、同社の社是にもなっています。
「“醸す魂”の言葉には、醸す人の心の優しさや心意気が込められています。社長である父はだんだんとこの意味がわかってきたそうですが、僕はまだ若すぎて深い意味がわかりません。達観しないと見えてこない世界ですが、目に見えない発酵はイメージが大事ですし、醤油造りは一代ではできないので、木桶を引継ぎつつ、この先、10代、20代と続いていくような製造をしていくことが、これからもずっと目標です」
新商品も生み出しつつ、伝統の味を守り続けること。その追求こそが、垣崎さんにとっての「醸魂」なのかもしれません。
▼垣崎醤油店でお買い物▼
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業界に革命を! 低アルコールのスパークリング日本酒
https://youtu.be/BjITIE38mwc
■シャンパンの伝統製法「瓶内二次発酵」で造る発泡清酒「雪香(ゆきか)」
島根県で醸造といえば、日本酒も外してはならない存在です。『古事記』や『出雲国風土記』には出雲神話にまつわる日本酒の記述があり、出雲市で発見された遺跡により、弥生時代には島根県で酒造りが行われていたことが推測されています。これによって、島根県は日本酒発祥の地ともいわれているのです。
一方で、若者を中心に日本酒離れが進んでいるといわれて久しい昨今。そんな状況に一石を投じているのが、世界遺産・石見銀山(いわみぎんざん)の玄関口に位置する「一宮酒造有限会社」のフルーティーなスパークリングタイプの低アルコール日本酒です。「雪香」は、独自の瓶内発酵技術を用いた発泡性タイプの日本酒で、アルコール度数は5度。まろやかな甘さと酸味のバランスが絶妙で、きめ細かな泡によるすっきりとした飲み口は、普段日本酒を飲まない層からも人気を集めています。
「シャンパンの製法と同じ瓶内二次発酵の技術を使っていますが、シャンパンはひっくり返して澱(オリ)を取り除くのに対し、『雪香』は澱をそのまま残すことで、うすい乳白色になります。若い人にもっと日本酒を親しんでもらうきっかけになればと開発に取り組んできました」
こう話すのが、同社社長の浅野浩司さん(写真左)。今やコンビニやスーパーなどでも見かけるようになったスパークリング日本酒ですが、大手のものは炭酸ガス注入方式で製造されているのに対し、「一宮酒造」が瓶内二次発酵で製造ができるのは、低アルコール酒開発に積極的に取り組んでいたグループ内企業のもつ特許を活用しているから。やさしいシュワシュワとした口当たりはとても心地よく、和製シャンパンとよばれる上質な味わいで、2013年には国際味覚審査機構「優秀味覚賞」を受賞しました。
■女性杜氏であることより、こだわりの製法に注目を
「一宮酒造」の創業は明治29(1896)年。醤油蔵から分家して日本酒造りを始めたことに端を発します。浅野社長は婿養子として「一宮酒造」に入り、日本酒消費の減少傾向が続くなか、異業種で働いてきたことを逆手に取り業界の常識にとらわれない新しいチャレンジを続けてきました。低アルコール日本酒は当初、業界内で賛否両論があったそうですが、「とにかく若い世代に親しんでもらわないと業界の未来はない」という強い意志のもと、全国の酒蔵ネットワークの仲間にも相談しながらブレることなく取り組んできたといいます。
「だからこそ、次第にスパークリング日本酒が世の中に受け入れられて話題になったときはうれしかったですね。この酒をきっかけにして、ゆくゆくは清酒『石見銀山 純米吟醸』などの特定名称酒も飲んでいただけるようなファンを獲得できたらと思っています。今後も新しいことに挑戦していきたいですね。今は娘夫婦が製造を担っているので心強いです。」
この言葉の通り、現在、杜氏を務めるのは、社長の次女である浅野理可さんです。三姉妹の次女である理可さんが家業を継ごうと決めたのは、高校生になったある日のこと。姉も妹も幼少の頃からやりたいことが決まっている中で、ふと「誰もこの酒蔵を継がなければどうなるんだろう」と考えたときに、家族が大好きだったこともあり「私しかないな!」と軽い気持ちで跡継ぎに立候補したのだとか。
高校卒業後は東京農業大学の醸造科学科に進学し、卒業後はすぐに実家へ。先代の杜氏のもとで3酒造期にわたって修業をし、日本酒が大好きだった同級生の怜稀(さとき)さんと結婚してからはふたりで「一宮酒造」の酒造りをスタート。4年が経ちました。
「夫とふたりで初めて酒造りをした年は、ふたり揃って機械の使い方を間違えて、身体中酒まみれになったことも。そんな失敗を毎年思い出し、同じ失敗を繰り返さないように、そして「うまい」と言ってもらえる酒を造ろう!とふたりで誓い合っています(笑)」
ちなみに、女性杜氏は昔よりは増えたものの、全国的にもまだ多くはありません。しかし、理可さんからは決して女性杜氏であることを自社の酒蔵の売りにはしない、酒造りへの真摯な姿勢を感じます。
「女性杜氏だからと取り上げていただくのはうれしいですし、力仕事がメインなので女性の杜氏や蔵人がそう簡単に増える世界ではないかもしれませんが、そうした“女性だから”ではない部分で注目されるような状況に変わっていってほしい思いもあります」
そう話すこだわりのひとつが、3~4日かけて造る麹。「一宮酒造」では、安価な普通酒から高級な大吟醸まで全てに1から手作業で製造した麹を使っています。35℃ほどに保った麹室(こうじむろ)で2時間ほど汗を流しながら行う、製麹作業は大変で、近年は機械化されている蔵も多いそうですが、理可さんは手作りであることを重視しています。
「酒造りで麹が一番大事だといわれ、それが酒の味にもつながっていると考えています。そこで妥協せず、時間も労力もかけて麹を造っています」
麹菌を繁殖させるためにお米を一面に広げていく作業は地道で、室内も暑いのですが、理可さんにはこの仕事が向いているそうで、ほかの蔵人よりも「自分が一番うまい」と自負しているのだとか。酒造りは力仕事が大変なものの、こうした繊細な部分は女性であってよかったと思えるところだといいます。
■日本酒の魅力を広め、「おいしい」がやりがいに
こうした理可さんのこだわりの背景にあるのは、「なんとか同世代にも日本酒の魅力を知ってもらい、広めていきたい」という思いです。
「東京から地元に帰ってきて友だちと飲んだときに、注文するものがカクテルばかりで衝撃でした。でも、これが現実かとわかったんです。ただ、私が日本酒を造っていることで友人たちも興味をもってくれるようになりましたし、特に『雪香』は飲んでくれる友だちも増えました。このように、若い世代である自分が酒造りをしていることで一人でも多くの同世代が『飲んでみようかな』と思ってくれるなら、私が造っている意味があるのかな」
香り豊かな島根の食用バラ「さ姫」の花びらを使った日本酒「薔薇姫」も、こうした思いから生まれたバラのリキュールです。ぜいたくなバラの香りと酸味と甘みのバランスがよく、着色料・糖類は一切使用していないため、ロゼワインのような色と味わいは天然由来によるもの。日本酒が苦手な人でも飲みやすいさわやかな風味です。
このように自分が携わったものを飲み手に届け、「おいしかったよ」といってもらえることは、このうえない幸せだと話す理可さん。
「その言葉をいただくまでは長い時間がかかりますし、つらいこともたくさんありますが、『おいしい』といっていただけると、今までやってきてよかったと思えます。自分でつくったものの反応を直接見られるのは作り手の醍醐味。だからこそ、大変な道ではありますが、生まれ変わっても酒造りの道に入るだろうな(笑)」
▼一宮酒造でお買い物▼
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宍道湖(しんじこ)のシジミは漁獲量も保護環境も日本一
https://youtu.be/Qs5SKhF-tJw
■専用の道具を使ってやさしく引き上げ、選別も丁寧に
島根県の特産といえば、シジミも欠かせません。県東部に位置し、周辺を松江市や出雲市に囲まれた宍道湖は、日本一のヤマトシジミの産地。全国漁獲量の4割以上を宍道湖産のシジミが占めているのです。豊富な採捕の理由が、海水と淡水が混ざり合う「汽水(きすい)」であるということ。生物の生息にとって豊かな生育環境となり、粒が大きく肉厚なシジミが育つほか、シラウオやコイ、うなぎといった魚ものびのびと成長しています。
現在、シジミ漁師は293名。早朝、宍道湖に船の音が響きわたると、シジミ漁のはじまりです。各漁師が自分なりに工夫を加えた「ジョレン」とよばれる道具で湖底にいるシジミをかき獲っていく様子は、宍道湖ならではの風景。基本的に操業できるのは1日3時間で、冬場は8〜11時、4月は7~10時、5月からは6~9時など、季節ごとに定められています。時間だけでなく、採捕量や休漁日なども細かく規定されているのは、限りあるシジミの資源を保護し、将来にわたって持続的に漁獲するため。保護区(禁漁エリア)もあり、漁業権は主に先祖代々受け継がれていることから、新規参入は難しい業界です。
「俺の竿の角度と、他の人の角度を見ておいて。浅いところと深いところでも角度が違うから」こう話すのは、2011年からシジミ漁を始めた錦織淳さん。不安定に揺れる小型船上で、足で舵取りやエンジン調整をしながら、両手を使って巧みにジョレンを操作していきます。竿の角度を見ると、湖底に対して垂直に立てているようです。
「竿の角度は人それぞれだけど、俺は垂直に立てて湖底のジョレンを平行に動かしています。斜めに角度をつけるとジョレンのカゴや爪で湖底のシジミを潰しちゃったり、爪の刃が傷むんじゃないかと思うので、角度をつけずにジョレンを湖底で這わせることで、そのままシジミをさらっていくイメージ。ここは泥がやわらかいから、すーっとすくってやさしく捕れているんじゃないかな」
10分ほど経ってから水面に引き上げた錦織さんのジョレンには、大粒のシジミがゴロゴロ! これを船上で2L、L、M、Sとサイズごとに選別し、小さなSサイズ(夏場はMサイズも)は資源保護のために再び湖へと戻します。1日の採捕量は1人約90kgまで。錦織さんは、この手掻きの漁を時間内に3回繰り返します。
漁場はだいたい決まっているそうですが、一度ジョレンをおろして手応えがない場合は移動するそう。なお、錦織さんのジョレンは5年以上使っているもので、引き上げがうまくない漁師は爪の一部だけが削れてしまうそうですが、錦織さんは均等に削れています。ただ、錦織さんは力を入れて引き上げていますが、さらにベテランの漁師は角度と速度で引き上げるため、力を使わずに重いジョレンを持ち上げることができるのだとか。
帰港後は自宅に戻ってシジミの選別作業へ。選別機で大きさを分け、地面とこすりあわせて音を聞き、身の入っていない貝を選り分けていきます。
「中身がないのは軽いので転がりが速いし、軽い音がするんです。地面に叩きつけると音の違いがよくわかりますが、そうするとシジミが傷むんじゃないかと思って、あまり手をつけないように音だけシビアに聞き取っています」
こう話しながら、手際よく選別していく錦織さん。特に寒い2~3月は死んでしまっているシジミが多いので、何度も慎重に分けていきます。この漁師の選別シーンを見せてもらえることは滅多にないそうで、貴重な機会を得ることができました。
■念入りなシジミの選別と、干しイモの新規事業
こうしてそれぞれの漁師が選別を終えたら、問屋が取引のある漁師宅を回ってシジミを買い付けます。そして、問屋の工場で再び選別が行われるのです。
「生のシジミの出荷に関しては、あまりシジミに負担をかけないように漁師さんから買い付けてきた状態で洗浄機によるシャワー洗浄をし、最小限の工程で洗って規格ごとに分けていきます」
こう話すのは、加工会社「有限会社コクヨー」の板垣崇史さん。同社では、宍道湖で獲れた新鮮なシジミを生きたまま全国各地に出荷しているほか、冷凍加工品の出荷も行っています。
冷凍は念入りな処理が特徴。まずは砂抜き水槽に一晩(15時間)浸けて砂を抜きますが、時間と塩分濃度、水温が重要で、時期によって調整しています。そして、砂抜きが終わったらランダムに抜き取り、実際に湯がいて5名以上の従業員で検食します。
そのうえで、シジミに負担をかけて衝撃を与えるハードな洗浄へ。ドラム式の冷凍シジミ専用洗浄機に入れ、ドラム缶内で落下させる構造で木の板にシジミを当て、死んでいるシジミを開かせるのです。
さらに水の中にシジミを入れ、高いところから何回も落下させて叩きつけ、死んでいるシジミを判別します。
「ここで死んだシジミが残ってしまうと異物になってしまうので慎重に選り分けますし、見分けがつきにくい木の実や石などもはじきます」
そして金属探知機を使っても異物をチェックし、シャワー洗浄をして脱水したら、最後にもう一度、別の担当者が選別して、ようやく冷凍庫へと運ばれます。冷凍加工においては、選別と検品が最も大事な作業なのです。
「冷凍の選別は12~3回繰り返します。もちろん集荷時も仕入れ部で選別しているので、そこからはじまり、各工程でも選別していきます。最初は死んでいなくても、時間が経つにつれ弱ったシジミが口を開くので、何度も確認します。それでも自然のものなので、どうしても残ってしまうことがありますが、日々100%をめざしています」
ちなみに同社では、シジミなど水産物の不漁も踏まえ、リスクヘッジのために近年は干しイモ(紅はるか)の製造にも力を入れています。ポイントは、独自のキュアリング貯蔵。
サツマイモを皮付きのまま蒸気に当て、皮下組織にコルク層を作ることで、収穫時についた傷を自然治癒(キュア)させる方法です。そして断熱性能を高めた貯蔵庫で13℃まで温度を下げて加湿すると、甘味が増し、長期保存も効くようになって通年の出荷が可能になります。茨城や九州ではよく知られる貯蔵方法ですが、島根県で取り入れている会社はほぼないのだとか。売れ行きも好調で、2021年8月には新工場も完成予定。今後はさらに力を注いでいきます。
「どうしても自然相手であるシジミは漁獲できないと始まらないので、今後はシジミとサツマイモの2本柱で考えていきます」
■汁物だけじゃない。おいしいシジミの食べ方
さて、再びシジミのお話。おすすめの食べ方を伺うと、錦織さんからも板垣さんからも「やはりすまし汁や味噌汁」との答えが。シジミは水から煮るのがよいそうで、ほかにシジミご飯やパスタ、蒸し焼きもおいしいのだそう。また、錦織さん曰く、2Lの大きなサイズはトマトソースとガーリックで炒めてイタリア風にすると、最高の酒のつまみになるのだとか。2Lサイズを砂抜きしてから七輪の網に乗せ、コロコロ転がして軽く熱を入れてもおいしいといいます。
「宍道湖は塩分濃度と真水のバランスがちょうどいいのか、ほかの地域に比べて安定した味が楽しめますし、だいたい水深2~3mに生息しているので、湖底の酸素濃度も関係しているのではないでしょうか」(板垣さん)
なお「有限会社コクヨー」では宍道湖全体を地区ごとに分け、トレース管理をしているそう。採捕場所で泥臭さや匂い、味、風味や色味が変わってくるそうで、それによって砂抜きの時間や水温を変えているそうです。
サイズによる味の違いはないそうで、時期としておいしいといわれているのは、8月の土用の丑の日前と、身が引き締まる1~2月。ただ、それぞれ好みがあるので、錦織さんは「1年中、旬だと思っていいですね」と話します。
様々な栄養素が含まれるのもシジミの魅力。錦織さんはかつてお酒が飲めなかったそうですが、シジミ漁師になって毎日すまし汁を飲むようになって肝臓が強化されたのか、すっかりお酒好きになったのだとか。では、先にご紹介した「一宮酒造」の日本酒とシジミ料理の組み合わせなんていかがでしょうか。
▼有限会社コクヨーでお買い物▼
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江戸時代から地域に息づく茶の湯文化
https://youtu.be/CADAniskdII
■独自の茶の湯文化が育まれてきた歴史
島根県を訪れて驚いたことのひとつが、どの会社を訪ねても必ずお茶が出てきて、そのお茶のおいしいこと! そう、出雲・松江地方は全国有数のお茶の消費量を誇り、上質なお茶を消費する地域として知られています。家庭でも会社でも、10時と3時の休憩時間にはお茶を淹(い)れたり、たてたりして飲む生活習慣が根付いているのです。まさに、好きこそものの上手なれ。暮らしに溶け込んだお茶への親しみが、おいしいお茶の淹れ方、たしなみ方へとつながっているのでしょう。
その茶の湯文化の礎を築いたのが、大名茶人として知られた松江藩7代藩主・松平治郷(はるさと)。不昧公(ふまいこう)の名でも知られています。藩主として治世にあたるとともに、藩内に茶の湯を奨励したことから庶民までお茶を楽しむ文化が伝わり、今なおその風習が地域に息づいています。
「小さな器で何杯も注ぎ足しながら、縁側や茶の間でお茶を飲む風習が根付いているのは、出雲ならではだと思います。小さな湯飲みは、お客様のお茶の減り具合を常に気遣わなければなりません。こうした人に対する思いやりが出雲人ならではですね」
こう話すのは、明治44(1911)年創業の老舗茶屋「株式会社茶三代一(ちゃさんだい)」代表で4代目の三代朱美さん。昔はこのような茶の湯道具と抹茶のセットがこの地方の嫁入り道具の定番だったそうで、各家庭には茶びつもいくつもあったそう。
「島根県は大きなお茶の産地ではありませんが、茶道を愛した不昧公が茶の文化を広げたことで、一説によると農家の方は田んぼ作業の合間に畦道で抹茶を飲まれていた風習もあったとか。それほどまでにお茶を飲む文化が伝わり、その環境のなかで各茶業者の茶匠が技を磨き、自分たちにとって最良の味と香りのためにブレンド技術を磨いてきたといえます」
■全国の名産地の茶葉をブレンドする技術力
「茶三代ー」でも、毎年新茶の時期になると全国の産地から毎日何十種類もの茶葉が届き、茶匠がひとつずつ確認し、前年の新茶を思い浮かべながらブレンドしているのだそう。
「それぞれ違う産地や味わい、香り、色の茶葉をブレンドしたらどうなるかを知識と経験値から編み出し、毎年変わらない味に仕上げていきます。新茶といっても、4月と5月の収穫時期の違いだけでも気候による芽の出方や成長具合が変わりますし、やはり自然が相手ですので、農産物として茶葉も価格も毎年変動します。それを鑑みながら、同じ価格と品質でお客様にお届けするのは非常に難しことでもあります」
こう語るのは、「茶三代一」茶師の今岡和宏さん。そのときどきによって異なる茶葉の質を見抜きながら、配合を変えることで変わらぬ味と品質を保っているのです。その方法は、茶葉の色を見て、握って手触りを確かめ、香りを嗅いでいきます。今岡さんは全国各地の10種類のお茶の手触りと香りから産地を当てたり、実際に試飲をして産地を当てる全国茶審査技術競技大会にも出場しており、5段を取得。この道8年、腕を磨いてきました。8年目の今岡さんの成長を、この道38年の長迫工場長が見守ります。
「何千種類もある茶葉をうまく組み合わせ、ブレンド後もしっかりと味と色と香りを確認し、トライ&エラーを繰り返しながらひとつの結論を導き出します。当社は全国各地の良質な産地のお茶をブレンドして商品化していますが、私が知っている茶葉もほんの一部。日本各地にはとてつもない種類のお茶がありますので、いかにブレンドして当社のオリジナル商品に仕上げていくか、日々悪戦苦闘しています。産地・品種・製法、その3つをいろいろな角度から見つめ、無限大のパターンからおいしいお茶をブレンドしていくことが、茶師としての醍醐味です」
なお、島根県はお茶の大産地ではない代わりに、各メーカーは名産地から茶葉を取り寄せて独特のブレンドで仕上げ、オリジナル商品を生み出していく力が長けているのだとか。一方で「茶三代一」では地産地消も考え、流通量は多くはないものの、有機栽培などに取り組む島根県産の茶葉も取り扱っています。
「細々ながらも県内に特徴あるお茶作りをする農家はたくさんあるので、同じ地域で働いている者として、地域のお茶を絶えないように支え合っていくのも我々の使命だと思っています」
■忙しない日常を離れ、お茶を淹れるということ
しかし、お茶を飲む文化が根付く島根県でも、今はコーヒーや紅茶、ハーブティーなど飲み物の選択肢が増え、お茶も茶葉で淹れるより、若い世代を中心にペットボトルやティーパックへと変化しています。それでも「お茶を淹れる文化は身近なものとして忘れないでほしい」と三代さん。
「お茶を淹れる一つひとつの所作や時間は自分自身を振り返るひとつの過程のような気がしますし、お湯の温度が熱いとお茶が渋くなったり、ゆっくり冷ますと甘くなったりと、お茶を待つ時間が心のゆとりにもつながります。それが心身のバロメーターになって、お客様にとっては最高のおもてなしになります。そのお茶の魅力を感じていただける方を増やしていき、煎茶や抹茶がもっと身近になるように、これからも努力していきたいですね」
最近ではフィルター・イン・ボトルなど簡単にお茶が淹れられるアイテムも揃い、堅苦しいイメージがある抹茶も、雑貨屋でお洒落な茶筅が販売されるようになりました。特別な日でも日常でも、お茶を楽しめる道具が気軽に手に入るようになっていることから、そうしたところからお茶に親しんでもらえるのもいいと話します。
「お客様からよく『祖父と一緒に飲んでいたお茶が懐かしい』といった思い出話を伺います。お茶を通じて、そうした時間を大事にする気持ちを皆さんに届けていきたいですね。小さなことでよいので、心に届くことをお茶を通じてやっていきたいと思っています」
昨年、社長に就任したばかりという三代さんの表情からは、決意とも取れる情熱を感じました。
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今回、島根県の数々のメーカーを訪ね、まさに故きを温めて新しきを知った取材となりました。そして、出会った皆さんが地元を誇りに思っていることが存分に伝わってきたこともまた魅力的でした。そんな島根県に思いを馳せながら、自分なりの産地直送、楽しんでみませんか。
- 秋田特集①
雪深い地で生まれた郷土食
昔ながらの味を守り抜く、こだわりの「いぶりがっこ」づくり
―【秋田県横手市】山楽里(さらり)
今月の特集 山楽里
今月は秋田のつくり手をご紹介します!
►特集の一覧はこちら
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秋田県発祥の郷土食いぶりがっこ。皆さんは食べたことがありますか?「がっこ」とは秋田の方言で漬物のこと。いぶした漬物という意味でいぶりがっこと言うようになったそうです。パリパリとした食感と、口の中に広がる燻製の香り!その大人な味わいは、一度食べたらクセになります。 今回は、秋田県横手市山内(さんない)地区で漬物加工・販売などを行っている、山楽里(さらり)に伺い、いぶりがっこづくりを覗いてきました!
■いぶりがっこのはじまり
秋田の山間部は、日照時間が少ない上に降雪時期が早く、大根などを天日で十分に干すことができません。そこで、囲炉裏の上に大根を吊るして燻し、漬け込んで保存食にしたのがいぶりがっこのはじまり。雪に閉ざされた長い冬の間の貴重な食べ物として各家庭でつくられ、家によって漬け方も味も異なる、昔ながらの郷土食です。 そんないぶりがっこの本場の一つが横手市山内(さんない)地区。山内では高齢化が進み、いぶりがっこの生産者も年々減少しています。伝統あるいぶりがっこの製法と味を守るために、地域の生産者と協力して立ち上げたのが農事組合法人「山楽里」。古くからの製法と味をそのまま受け継ぎ、保存料や着色料・香料を一切使用しないこだわりの「山内いぶりがっこ」を製造しています。
■年に一度の仕込み時期
あら、何やらふわ~っと煙が上がっています。ここは「いぶし小屋」。大根を煙で燻す、専用の小屋です。訪問時の11月は、まさに年に一度の仕込み時期!大根の収穫期でもあり、訪問の道中では、とても寒い中で大根堀りをしている農家さんたちをお見かけしました。 さて、小屋の中がどうなっているか気になりますよね。いぶし小屋のシャッターを開けた途端、視界は一気に煙だらけに。煙が目にしみる・・!
立ち込めた煙の中から姿を現したのは、天井からずらっと吊り下がった大根たち!その光景は圧巻です。通常は大根を縄で結わえて吊り下げるそうですが、つくる量が多いと縄を結うのも、吊り下げるのも一苦労。そこで特製フックを考案し、楽に大根を燻せるように工夫しています。 この小屋では、最大約2000本の大根を燻すことができるそうで、太いものは2~4日、細いものは2~3日燻します。大根の太さはもちろん、火の上、小屋の端など場所によっても色付きや乾燥具合が異なるため、見極めながら燻製時間を調整する、まさに熟練の技が光ります。
▲農業組合法人 山楽里 代表理事の佐藤健一さん
「広葉樹の薪だけで、黄金色っぽく燻すのがうちの特徴なんです」そう話すのは、山楽里の代表理事、佐藤さん。昔は、色が黒っぽく、ぐにゃっとしなるまで燻していたそうですが、これだと皮が硬くなってしまうのだとか。なので、より今の嗜好に合ったほどよい食感になるよう、”黄金色”に燻します。
また、山楽里のいぶりがっこは、すべて自分たちの畑で育てた大根を使っているのもこだわりの一つ。数ある品種の中でも「香漬の助(こうづけのすけ)」という、水分が多くパリッとした食感が特徴の大根を使っています。
▲ちょうど収穫していた大根 きれいに洗ったあと燻される
■厳選した材料でじっくり寝かせる
大根を燻したあとは、いよいよ漬け込み!
こちらは「漬け素(つけもと)」。塩・砂糖・米ぬか・麹・蒸した米(秋田こまち)を使った秘伝のレシピで、この漬け素によっていぶりがっこの味が決まるそうです。添加物を使わず、砂糖一つとっても、厳選した素材を使うのがこだわり。「いいものを作るとなれば、いいものを使ってやる。そのために添加物も使わない」と佐藤さんは言います。
できるだけ均一に漬かるよう、隙間がないように、樽の中に大根を敷き詰めて・・・
漬け素と唐辛子をまぶして、その上にまた大根を敷き詰めて、最後に重石をのせます。大根の太さにもよりますが、ひと樽で600本~1000本ほどを漬けることができるそうです。漬ける期間はおよそ60日!10℃以上にならない寒い場所で、発酵の速度をできるだけ抑えながらじっくりと寝かせます。漬け込みの作業が終わるのは1月の年明け頃。雪が降っている寒い中で、漬け込んだ大根を水洗いし、いぶりがっこの完成です。
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スライスして、そのままごはんやお酒のお供として味わうのはもちろん、刻んでおにぎりに混ぜたり、ポテトサラダに加えたり、相性抜群のクリームチーズと一緒に味わうのもおいしい!クセになる燻しの香りとパリパリ食感をお楽しみください。
▲いぶりがっことベーコンのクリームチーズ和えをクラッカーにのせておつまみに
■いぶりがっこで地域を盛り上げる!
生産者の高齢化でいぶりがっこの生産元が少なくなっている一方、いぶりがっこの人気は高まっているそうで、地域の直売所にはいぶりがっこのファン、通称「がっこファン」が全国から集まるんだとか!2年ほど前から横手市との応援事業で行っている、いぶりがっこ作り体験も、多くのがっこファンを生み出す人気の体験です。 また横手市では、いぶりがっこのオリンピックならぬ「いぶりんピック」という大会も年に1回開催されており、市内の生産者が自慢のいぶりがっこを出品し、出来栄えを競います。フリースタイル部門では、燻した食材であれば何でもOK。いぶりにんじん、いぶりがっこチーズなど、さまざまな創作メニューが登場するというから、気になる!!郷土食のいぶりがっこを活かし、町をあげて地域活性化にも取り組んでいます。
■おいしいと言ってもらえるものを作りたい
▲山楽里の皆さん
「昔はもっとしょっぱかったんですけれども、今は塩を少なくして、燻す色も黄金色にこだわって、消費者さ合う商品をつくるっちゅうことをやってます。しょっぱかったよ、甘かったよ、そういう食べる方の意見を色々聞きながら研究してますね。手間がかかるけど、”おいしかった”と言ってもらえれば、”あ~やった甲斐がある”と感じますね。」 “決して生産量は多くないけど、味はどこにも負けない”そう語る佐藤さんの姿が印象的でした。
秋田の雪深い地域で生まれた燻しの漬物いぶりがっこ。昔ながらの製法と味を受け継いだ、こだわりの山内いぶりがっこをぜひご賞味ください!
▼山楽里(さらり)でのお買い物はこちらから
- 北陸特集③
素材を活かす「もろみの雫」
地元の味・産地を守る大野の醤油づくり
―【石川県金沢市】直源醤油(なおげんしょうゆ)
https://youtu.be/PIw5Mj90Q_0
今月の特集 直源醤油(直江屋源兵衛)
今月は北陸のつくり手をご紹介します!
北陸は、石川・富山・福井の3県のこと。石川といえば古都金沢の情緒あふれる街並み、富山は迫力満点の黒部ダムが有名!福井県は越前がにが絶品ですよね。のどぐろ・ほたるいかなどなど、北陸は日本海に面しているだけあって、海の幸が本当においしい!でも海だけじゃないんです。白山や立山など日本で有数の山々もあって・・・海の潮風を感じながらきれいな山を眺められるなんて、ちょっと恵まれすぎやしませんか! さて今月は、そんな豊かな自然と歴史ある風土が育んだ、北陸の逸品をご紹介していきます。
►特集の一覧はこちら
素材を活かす「もろみの雫」地元の味・産地を守る大野の醤油づくり
醤油の五大名産地ってご存知ですか?千葉県の野田・銚子、兵庫県の龍野、香川県の小豆島、そして石川県の大野です。今回お訪ねしたのは、大野醤油をつくる醤油屋の一つ、創業195年の「直源醤油(なおげんしょうゆ)」。社長の直江潤一郎さんご案内のもと、大野醤油の歴史や醤油づくりについてお話を伺いました。
■400年続く大野醤油
大野醤油の産地である金沢の大野町は、大野港のすぐそばにある、600世帯ほどの小さな港町。ほんのりと、お醤油の香りが潮風の中に感じられます。 約400年前、加賀藩の命令で、醤油醸造の発祥の地である紀州(今の和歌山県)の湯浅に醤油づくりを習いに行ったことが、大野醤油の始まり。とっても長い歴史があるんですね・・!最盛期、大野に60軒ほどあった醤油屋は、今では15軒ほどになっています。
■実は雨の”じめじめ”が良い!?木桶で仕込む難しさ
金沢は雨が多く、湿度も高い。確かに今回ご訪問したときも、空はどんより、雨が降ったり止んだりしていました。でも、そのじめじめした環境が醤油づくりには大切なのだそうです。
直源醤油の看板商品は「丸大豆醤油 もろみの雫」です。この醤油は、国産の丸大豆と小麦を使い、麹菌を混ぜて醤油麹(こうじ)を作ります。麹づくりは醤油づくりの中でも大切な工程の1つで、良い麹を作ることが香り高くうま味の強いお醤油を作ることに繋がります。でき上がった醤油麹に能登の海洋深層水を使用した食塩水を加え、能登の杉材でつくった木桶の中で仕込みます。
木桶は、天気や気温・湿度といった自然の影響を受けやすく、予定通りに仕込みが進まないこともあるそうで・・・。量産できて、温度管理もできるタンク醸造の方法であれば半年で仕込みが完了しますが、木桶の場合、1年はかかります。発酵がうまく進まない場合は状況を見ながらもう1年寝かせる!なんてことも。
能登の杉材を使った木桶
直江社長は言います。「今はある程度、温度のコントロールもできるようになりましたが、自然相手というのはやっぱり難しい。長い時間、醤油を寝かせますが、焦ると良い風味・旨味が出ないんです。大野の気候でじっくり熟成させる。それが醤油本来の旨味を出すには大事なことだと思っています。」
木桶で仕込むと木独特の風味や香りが生まれ、よりやわらかい、自然な味に。「もろみの雫」は国産の丸大豆を使っているからこそ、杉桶で仕込むことにこだわっているのだそうです。(「もろみの雫」のおいしい使い方は後ほどご紹介!)
こちらは、仕込みに使う塩水。時間をかけて、海洋深層水に塩を溶かしています。すごーい!!と水槽をのぞき込んでいると、「飽和に近い食塩水なので、万が一落ちても浮いてくると思いますよ。」と笑顔で社長に言われ、「それなら安心ですね」と咄嗟に答えてしまいました。笑
それはさておき・・・熟成を終えた醤油もろみは、専用の搾り袋に入れ圧搾します。300~400枚の布を使い、1週間かけてゆっくりと、旨味を最後まで搾り取っていきます。ぽたぽた、ぽたぽた。耳を澄ますと醤油が落ちる音が聞こえます。
■大野醤油の産地を守るために
今回の取材で1番びっくりしたこと。それは、醤油づくりの基になる「生揚げしょうゆ」の製造が大野の町で一元化されていること!組合工場で発酵熟成された「生揚げしょうゆ」を使い、醤油屋それぞれのオリジナルの味に仕上げるのだそうです。てっきり、それぞれの醤油蔵で一からつくっているのだと思っていました。
「大野の醤油屋は、昔はそれぞれ大豆を蒸したり、麹をつくったり、醤油を搾っていたんです。でも、原料を買ってからお金になるまで非常に長い時間がかかりますし、設備投資にも大きなお金がかかってしまいます。そこで50年ほど前、産地を守るために組合をつくり、お醤油づくりの前段工程を一元化しようということになったんです。」と社長は教えてくださいました。
お酒などの嗜好品と違って、醤油は普段使いするものであり、ある程度量産しないとビジネスとしても成り立ちにくい。だから、大野の町で一つの設備を持つことでコストを抑え、各醤油メーカーに供給することでそれぞれの負担をなくし、最後の仕上げだけに注力し、品質向上に努めるようにしているのだそうです。
みんなが親しむ地元の味、食文化を残したい。産地を守っていきたい。400年の歴史を刻む大野醤油だからこその想いに、思わず胸が熱くなった瞬間でした。
■大野醤油は旨甘い!「旨口醤油」
関東のピリピリっとした醤油、九州の甘~い醤油とも違う。大野醤油はちょうど中間の”旨甘い”醤油!「旨口醤油」と言われています。醤油そのものがあまり主張せず、色目も控えめ。北陸は昆布だし文化ということもあり、それに合うようなやさしい甘味で、素材を活かしてくれるんですよ。
>>つけ、かけ、煮炊き 何でもOK!「もろみの雫」
「もろみの雫」お買い物はこちら►
直源醤油の「もろみの雫」は、国産原料にこだわり、大豆・麦・塩だけで作ったピュアな醤油。さらっとしているけど、昔ながらの香り深い醤油です。大豆から出る自然な甘味と旨味は、つけ・かけ・煮炊き、何でも大丈夫◎ 幅広くお使いいただけます。
「もろみの雫」お買い物はこちら►
旬の魚や野菜はもちろん、お肉にも合う!タレに負けてしまいがちな和牛ステーキも、もろみの雫をたらして、わさびを添えて食べると、お肉の深い味わいを存分に楽しむことができますよ。ぜひお試しあれ!
左:丸大豆醤油もろみの雫 200ml(税込: 540円)中央:丸大豆醤油もろみの雫 レトロ黒瓶入り 720ml(税込1,620円)右:もろみの雫シーズニングソイソルト20g(税込 540円)►こちらは、「丸大豆醤油・もろみの雫」を持ち運びしやすいパウダータイプの”粉醤油”にしたもの。醤油の香り、お味が濃縮され、お料理のちょっとした風味づけに!
■直源の醤油がないと困る
直源醤油の社長 直江潤一郎さん
「直源の醤油でないとおいしい味が出んげんてぇ(出ないのよ)」「直源の醤油がないと困る」毎日使っていただいている地元のお客様からそう言われるとき、これからもしっかりつくっていかないと!と社長は思うそうです。
「使い慣れたお醤油があって、いつもと違うものを使うと、おいしい・まずいではなくどこか違和感があります。お醤油自体は裏方だけど、それ一つでお料理の味も決まるので、味・香り・色、どれもブレるとお客様に迷惑をかけてしまう。だからこそ安定した、いつもの味をお届けできるように心掛けています。」
地方の小さい醤油屋だけど、お客様のおいしい食卓を守っていけるような醤油屋でありたいと、強い想いを語ってくださいました。
▼直源醤油(直江屋源兵衛)でのお買い物はこちらから
- 新米をもっとおいしく!

新米シーズン到来!お米のおいしい季節になりましたね。つやつやの新米はもちろんのこと、ふっくら熱々ごはんと食べたい、絶品ごはんのお供を集めました!旨味がきいた出汁や味噌汁もご紹介。おいしい新米を”もっとおいしく”食べませんか?
2020年産 新米
【2020年産・新米】特上米こしひかり(2kg)
¥1,728
【2020年産・新米】特上米こしひかり(5kg)
¥4,104
【2020年産・新米】六星米こしひかり(2kg)
¥1,382
【2020年産・新米】六星米こしひかり(5kg)
¥3,240
しまんとのお米2合(300g)
¥432
しまんとのお米5kg
¥4,104
シンプルにごはんを味わう(おかず味噌・佃煮・漬物・塩)
野菜たっぷり金山寺味噌
¥540
のどぐろおかず味噌140g
¥540
のりのに(海苔の佃煮)
¥486
朝めしのり3種10本セット
¥4,428
New-STANDARD”塩結”
¥540
はちみつ仕立て 【和】ふっくら特選南高梅【勝喜梅シリーズ】
¥2,160
みそ漬きゅうり
¥500
鳥取砂丘産らっきょう漬 130g
¥680
わさび沢庵
¥550
霜にあたった野沢菜しょうゆ漬
¥453
ぼたんこょうきざみ味噌漬 80g
¥540
土佐ジローの極みたまご
¥1,404
贅沢珍味でごはんを味わう
極上新塩ウニ
¥3,000
極上新塩ウニといかの塩辛セット
¥3,000
洋野うに牧場の四年うに「蒸し」(キタムラサキウニ)
¥2,980
磯の香り2本セット(塩うに・いくら醤油漬)
¥3,890
ほたるいかの塩辛
¥432
新湊漁港産するめいか黒作り
¥1,300
贅沢太切りいかキムチ120g
¥594
昔ながらの濃厚熟成塩辛130g
¥972
漁師風いか醤油漬け(小分けタイプ)
¥580
だし・味噌汁
金の焼あごだしパック
¥1,620
五島あごだし
¥1,620
毎日だし 350g(7g×50包)
¥3,240
フリーズドライみそ汁 ずくいらず8ヶ箱入
¥1,360
フリーズドライぜいたくみそ汁MIX10食
¥1,552
【数量限定】生即席みそ 5食×9袋セット(+1袋プレゼント)
¥3,742
新米に合わせたいおかず
鮮魚干しのどぐろ
¥3,672
五島列島直送!★朝獲れ鮮魚セット★4kg
¥10,000
さんま干し(刀)醤油麹仕込み3本入×4セット
¥3,240
浜田港のどぐろ一夜干し
¥4,980
こだわり干物セット
¥5,400
斉吉人気者詰合せ45
¥4,450 円
のどぐろ入り天ぷらセット
¥3,780
四万十うなぎ蒲焼2本セット
¥6,966
三陸の青魚と野菜のトマト煮 いわし
¥756
やまと豚味付肉セット
¥4,500
佐助のロース味噌漬セット
¥3,720
美豚丼(あごだし)
¥626
お茶漬け・混ぜご飯
梅干専門店の贅沢梅茶漬け 紀州南高梅添え(10個入)
¥2,700
かつおめしの素しょうゆ味
¥432
▶ その他の食べてみた