• 東北:三陸特集②
    試行錯誤を重ねた
    「昔ながらの濃厚熟成塩辛」

    シーフード天国、三陸へ

     ついにやってまいりました。三陸!潮風が気持ちいい~!!ゆったりとした雰囲気の漁港はかもめが飛んでいたり、のんびりお散歩していたり。おだやかな海を眺めているだけでぼーっと1日過ごせてしまいそう。。。

     みなさん、そもそも“三陸”ってどのあたりのことかご存じですか?青森県、岩手県、宮城県にまたがる三陸海岸と、その内陸部である北上山地を指す地域のこと。ギザギザしたリアス式海岸で有名ですね!

     実は三陸の海は、親潮と黒潮が出会う潮目となっていて、世界でも有数の良質な漁場として知られているんです。なんとアワビの収穫量は岩手県が全国1位!!すごーい!!ほかにもサケやサンマ、カツオ、ホタテやカキなどなど、これでもか!というくらい、豊富な魚介類が手に入ります。

     

     ちなみにこれはホヤのお刺身。貝でも魚でもない、初めて食べるのには少し勇気がいる一見不気味な生物・・・。だけど滋味深い、なんともいえない複雑な味がたまらない!特に酒のあてにはもってこいです!ホヤは、日本では三陸が主な産地なんです。飲兵衛のみなさん、三陸に感謝しましょう。ありがとう、三陸。

     これぞまさにシーフード天国!しかしここ三陸は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の一つ。普段私たちに恵みをもたらしてくれる海からは巨大な津波が押し寄せました。

     今年で震災から9年。津波の被害を受けた地域は、道路が整備され、新しい商業施設ができ、街は少しずつ復興しています。されど、まだまだ復興途上。前を向き、頑張る生産者さんたちに寄り添い、力になりたい。「久世福e商店街」で、この地域を盛り上げたい。

     そこで、私たちは三陸地域でがんばっている生産者さんたちの元にお邪魔してきました!

     

    ■試行錯誤を重ねた
    「昔ながらの濃厚熟成塩辛」
     波座(なぐら)物産

     ちょっとちょっと。
    なんだかすごい塩辛があるらしいですよ。

     ぷりっぷりで見るからに濃厚ないかの塩辛。ご飯のお供はもちろん、調味料として使ったり、日本酒のあてにも最高!
     こちらは気仙沼に工場を構える波座物産の「昔ながらの濃厚熟成塩辛」。
    いかの塩辛を作るには通常数日、家庭でも作れますが、こちらの塩辛は完成まで2か月!この塩辛にかけるこだわりがとにかくすごいんだとか。

    完成してもやり直し!?
    妥協しない、塩辛づくり

     網の上に並んでいるのは、塩辛の原料となるするめいか。
     一枚一枚、手作業で網の上に広げて乾燥させます。

     一晩干したするめいかはカットされ、いざ調味腑(ちょうみふ)が入った樽の中へ。

     新鮮ないかのわた(内臓)と塩、必要最低限の調味料だけで作った調味腑。
    この調味腑も試行錯誤を重ね、保存がきくぎりぎりのところまで調味料を減らし、絶妙なバランスに仕上げています。
    一晩干して半乾燥の状態になったするめいかにじっくりと味を染み込ませていきます。しみしみ。しみしみ。
     樽の中でじっくり寝かせて、でき上がり!

     

    ・・・と、言いたいところですが!

    干したするめいかは、乾燥具合も、味の染み込み具合もそれぞれ違うのだそう。
    味を均一にするため、複数の樽で寝かせた塩辛をブレンドしてさらに熟成させます!手間かかってるー!

     熟成は、最低1か月半、長くて2か月。これも長年の研究の末にたどり着いた方法なんです。

     し!か!も!
    しっかり熟成させてできあがった完成品を従業員全員で味見して、納得できなければやり直し。ひょえー!なんてストイックー!!!頭が上がりません。。。
     おまけに、熟成期間中に樽の上の方にあった塩辛は、空気に触れて酸化しているので、その部分は使わないというこだわりぶり。こうすることで渋みをなくすことができるそう。細部まで、とことん気を使われています。
     ここまで手間をかけているからこそ、おいしい塩辛になるのです。

     こうしてようやく、「昔ながらの濃厚熟成塩辛」のでき上がり!

     じっくり寝かせて熟成された塩辛は、とにかく濃厚で噛むほどに味わい深い。
    塩辛にありがちな臭みも全く気になりません。これは、、、米も酒も止まらない危険な味だ、、、

     ちなみに波座物産の専務取締役である朝田さんによれば、波座物産の塩辛は作り方がウイスキーと似ているんだとか。ウイスキーも、一つの蒸留所で造られたいくつかのものをブレンドして、各銘柄の味ができあがります。
     なるほど、なんかおしゃれですね!

     

    ここまでくると、可愛くてしょうがない

     気仙沼工場での塩辛づくりを任されていた、前工場長の大原さん。実は出身は気仙沼ではなく隣町の石巻。
     気仙沼では家庭の味としても親しまれているいかの塩辛を食べたことも作ったこともなく、はじめのうちはとても苦労されたそう。

     勉強熱心な大原さんが、塩辛づくりがなかなかうまくいかなかった初期のころからつけていたノート。レシピや乾燥状態などを、毎回丁寧に記録していました。
     このノートは東日本大震災の津波で流されてしまったのですが、息子さんが探し出してくれたそうです。このノートが無ければ、震災後も塩辛を作るのは難しかったかもしれないそうで。見つかって良かった~。今はその息子さんが工場長として活躍されています。

     

     何度も、何年も、試行錯誤してたどり着いた味。この塩辛づくりにゴールはないそうです。
     「うちの塩辛づくりは手間しかない。なんでここまで手間をかけてやるの?と言われることもあるけど、何度も失敗を繰り返して、何年もかけてやってきたから、もう可愛くてしょうがない」と、嬉しそうな大原さん。大原さんの塩辛にかける熱意と愛情に、私までほっこり。

     「塩辛にあまりなじみのない人や若い人にも、ぜひ一度食べてほしい」。そんな塩辛です。

     とことんこだわった「昔ながらの濃厚熟成塩辛」、ぜひ食べてみてください!

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