• 東北の漁師町、気仙沼の
    食卓を支える街のお肉屋さん

    Vol.1
    亀山精肉店 柴田静香さん

    宮城県気仙沼市

    宮城県気仙沼市で80年以上続く、街のお肉屋さん「亀山精肉店」。
    3代目のお父様と共に、店を切り盛りするのは4代目の柴田静香さんは、お店の大黒柱として商品開発や営業、接客をこなす一方、育ち盛りの男の子のお母さんでもあります。
    経営者として、母として、忙しい毎日を元気よく過ごすために普段食べている気仙沼ならではの「まかないレシピ」を伺いました。

    初秋のカツオ船からおすそわけ

    とれたてのカツオを手にする柴田さん(左)と船頭さん(右)

    お話を伺ったのは秋のはじめ。この時期、ほぼ毎週食べているものが「カツオ」だそう。

    (柴田さん) 
    気仙沼を拠点にしている遠洋漁業マグロ船にお肉を卸していたのですが、そのご紹介でカツオ船にもお肉を卸すようになりました。年単位で航海に出るマグロ漁船とは違って、カツオ船は航海期間が短いので、7月~12月の間に多い時は2日に1回、少ないと週に1回は気仙沼港に寄港した船に、お肉を持っていきます。その時に、釣ったばかりの生のカツオをおすそわけしてもらっているんです。写真に一緒にうつっているのは船の船頭さんです。

    柴田さんがお肉を卸しているカツオ船は、2019年気仙沼港でのカツオ水揚げ1位にもなった業界では有名な漁船。
    1本釣りで釣り上げたばかりのカツオを丸ごと、しかも生のままで分けてくださるそうです。そんな鮮度抜群のカツオを、自ら豪快にさばく柴田さん。

    肉切り包丁(!)でカツオを丸ごとおろす作業は、まさに力勝負

    さばいたカツオはその日の夕食の食卓に並びます。この日はたたき、ハラス焼き、なめろう。

    ハラスの塩焼き(左)とカツオのたたき(右)

    (柴田さん) 
    今の時期のカツオは脂が少ないので、たたきがおいしいと船頭さんに教えてもらいました。魚焼きグリルで強めに焼いた後、切って、玉ねぎ、ねぎ、みょうが、しそをのせて、ぽん酢かめんつゆで食べます。戻りカツオになったら脂がのっているので、そのままお刺身でにんにく醤油で食べます。ハラスは塩をふって、グリルで焼きました。なめろうは骨とか皮についた身をそいで、たたいて、味噌、醤油、ねぎを混ぜました。

    カツオのなめろう

    夕食は柴田さんと息子さん、柴田さんのご両親の4人で食卓を囲みます。さすがに4人でもカツオまるまる1匹を食べ切ることは難しく、残ったカツオには塩をふっておいて、翌朝焼いて、朝ごはんに食べるそうです。

    柴田家のしらす丼

    お盆、お祭り、夏休みととにかく目が回るように忙しかったこの8月。そんな時によく食べていたのが、旦那さんの実家から送られてくる静岡の釜揚げしらすをごはんにのせたしらす丼。簡単なので、時間のないときによく作るそうです。小学生の息子さんも喜んで食べるメニューのひとつ。

    シンプルにお醤油で
    納豆と一緒に

    (柴田さん) 
    静岡にある旦那さんの実家の近くでしらすがとれるので、毎年お中元にしらすを贈ってくださるんです。旦那さんは小さい頃からしらすを食べて、体格よく育っていたので、しらすの栄養をとっていれば大丈夫かな、と思ってこどもにも食べさせています。(笑)

    柴田さんは結婚して実家の亀山精肉店に戻ったあと、長男と長女の妊娠出産が続いたこともあり、家事や子育てに専念し、旦那さんが店を切り盛りしていました。しかし、東日本大震災で旦那さんと長女を亡くし、当時の店舗も津波で全壊。旦那さんの意志を継いで、柴田さんがお店を立て直していくことになりました。しらす丼は今も昔も柴田家を力強く支える、なくてはならない存在なのです。

    ”お母さんの味方”のお店でありたい

    震災からもうすぐ10年。新しい店舗での営業も軌道にのり、精肉だけでなく気仙沼グルメのホルモン、手作りのお惣菜やお弁当も人気です。当時を振り返って今、思うことを尋ねてみました。

    (柴田さん)
    やりたかったこと、こういうお店にしたい、と思っていたことが、今全部できているなあって思います。前のお店があったら、たぶんできなかったかもしれないです。震災で全部流れて、なくなって、0になったからこそできたのかなぁと思います。

    震災前は飲食店や施設などの業務用卸がメインの事業でした。震災後は、お惣菜やお弁当など、一般の消費者向けの商品を柴田さんが考案し、次々商品化。主婦目線での”あったらいいな”、を形にした商品は地元のお客様に好評で、今や毎日約30種類のお惣菜やお弁当が並ぶお肉屋さんに。人気のお弁当は日替わり弁当、牛カルビ弁当、かつ丼、ガパオライス、ロコモコ、ハンバーグなど。1日に50食以上売れるお弁当もあります。

    亀山精肉店で販売しているガパオライス弁当

    そんな柴田さんが次にやりたいこととは。

    (柴田さん)
    生のお肉に味付けだけして、あとは家で揚げるだけのから揚げ用のお肉や、ころもまでつけてあって油で揚げれば食べられる手作りコロッケのような、最後にお母さんがお家で調理して仕上げるような商品を、国産のお肉にこだわってつくりたいんです。私も実際そういうものが欲しいと思いますし。お母さんの味方になるような商品をつくりたいです。

    既に販売している人気のハンバーグは家で焼くだけなので、手間いらず
    柴田さんと亀山精肉店のスタッフのみなさん

    いつも明るく、笑顔の柴田さん。出会った人はみんなファンになってしまい、年上のスタッフからは「しーちゃん」と呼ばれ、地元のお客様からも慕われています。そんな柴田さん率いる亀山精肉店がお届けする、「気仙沼の漁師が愛した陸の味」。

    ぜひ一度、味わってみてはいかがでしょうか。

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