―【香川県高松市】マコーズベーグル(マコーズファクトリー)
今月は四国のつくり手をご紹介します!
青い海に浮かぶたくさんの島々。こちらは香川県の紫雲出山から眺めた瀬戸内海です。本州・四国・九州に囲まれた瀬戸内海にはたくさんの島があり、その数はなんと700以上。のんびりと穏やかで、時間を忘れてしまうほどの絶景です。今回の四国では、どんなつくり手と逸品に出合えるのでしょうか!
こちらは「ベーグル」。パンの一種で、このドーナツ型が何とも愛らしいですよね。きっと、あまり馴染みがないという方も多いかもしれません。今回お訪ねしたのは、ベーグルづくりを営む、香川県の「マコーズファクトリー」。社長の吉野正晃さん、ベーカリーチーフの高橋直子さんにご案内いただき、マコーズベーグルのこだわりを探ります!
■ベーグルの歴史
ベーグルの生まれは17世紀のオーストリア。トルコの侵略から自国を守ってくれたポーランドへの感謝の意を込めて、ポーランド騎馬軍のシンボルである馬の鐙(あぶみ)に似せてユダヤ人ベイカーにパンを焼かせたのが始まりだと言われています。その後20世紀に多くのユダヤ移民たちによって、ニューヨークにベーグルがもたらされました。生地に卵やバターを使わないその特徴から、ヘルシー志向のニューヨーカーに親しまれるようになったと言います。
■本場の味にこだわったベーグルづくり
まずは生地づくり。朝の7時に伺ったときには、すでに作業が始まっていました。マコーズベーグルの基本となる食材は、小麦粉・砂糖・塩・パン酵母といたってシンプル。牛乳・卵・バターなど、乳製品や動物性油脂は使いません。
練り上げた生地はすぐに成形していきます。パンだと、成形の前に生地を一次発酵させますが、ベーグルには一次発酵がありません。
切り分けられた生地が芯棒に巻き付いて筒の中を通り・・・
ほら!ドーナツ型に。こうやって形ができるんだ~!!と序盤からちょっと興奮気味の私でした。
>>ベーグルのできが決まる!発酵
成形の次は発酵!でもこの発酵の見極めがかなり難しいそうです。
「良い生地を練り上げても、発酵器から出すタイミングを間違えると台無しになってしまうんです。その日によって生地の膨らみ具合も違うので、本当に難しい。発酵が足りなくてベーグルが固くなったり、発酵し過ぎて焼き色が上手くつかなかったりということもあります。」と高橋さん。
マコーズファクトリーに勤めて13年の高橋さんでさえ、発酵の良し悪しを見極められるようになったのは、つい最近だというから驚き。熟練の技が光る大事な工程です。
>>茹でることで生まれる、もちもち食感とツヤ
そしてもう一つ大事なのが、茹でる工程。ベーグルづくりの最大の特徴でもあります。90℃以上の沸騰直前のお湯の中にベーグルを投入!熱湯の中でぷかぷかと浮かぶベーグルたち。
なぜ茹でるのか。それは、茹でることで生地のもちもち食感と焼き上がりのツヤが生まれるからです。この茹でる工程は、ベーグルの伝統的な製法であり、工房によってはオーブンの中でスチームを当てるだけというところもあるそうですが、マコーズファクトリーは、手間がかかってもこの工程にこだわります。本場ニューヨークのベーグルを再現するために、茹でることは絶対に欠かせないのだそうです。
さて、皆さんお待ちかね!オーブンで焼いていきます。焼きムラができないように位置を調整しながら焼いていき・・・
ほら見てください!一回り膨らんで、こんがり焼き色がついておいしそう。香ばしい香りも食欲をそそります。この日は朝食を抜いていたこともあり、私の空腹はピークに。笑
綺麗な焼き色に、つやつやと輝くベーグル。卵黄を塗らず、茹でることでこのツヤが出るなんてビックリですよね!最後に、マコーズの焼印を押して完成です。
■もっちもち!食べ応え抜群
今回特別に、焼きたてのベーグルをいただきました!こちらは一番シンプルなプレーンのお味です。
半分に割っただけで伝わる”もちもち感”。きめ細かく、ギュッと詰まった生地は、ずっしりと重みがあります(素手で持っていますが、焼きたてなので結構熱い)。一口食べると、しっとりもっちもち!噛めば噛むほど小麦本来の味わいが広がり、抜群の食べ応えでした。
もちろんベーグルそのままや、バター・ジャムをつけるだけでも十分おいしいですが、お好みの具材をサンドして食べるとさらにおいしさが広がります!高橋さんのおすすめは、家庭でも手軽にできるたまごサラダ。おしゃれに楽しむなら、スモークサーモン+クリームチーズやアボカドシュリンプの具材もおすすめです。また、半分に切ったベーグルにチーズをのせて焼くとピザ風も楽しめるので、手間がかからず、忙しい朝にはうれしいですね。
■もともとベーグルを作る予定はなかった
「ここはもともと食品問屋で、ベーグルを作る予定はなかったんですよ」と吉野社長。問屋の空き場所を工場にし、ベーグルを作っている方に貸す予定が、先方からベーグルを作るところまでやってほしいと依頼があったそうで、ベーグルの道に足を踏み入れることに。
「13年前、ベーグルのことを勉強してこようと本場のニューヨークに行ったのですが、現地で食べたベーグルのおいしさに衝撃を受けまして。それまでベーグルは食べると硬いイメージがあったのですが、まったく硬くないんですよね。」本場での体験と勉強をとおして感じた”基本のベーグルを皆さんに味わっていただきたい”という想い。だからこそマコーズファクトリーは本場の伝統製法にこだわっているのです。
今後は、地産地消で四国の素材を使ったもの、糖質制限したベーグルなど、伝統製法を守りつつ、おいしい新しいベーグルづくりに挑戦していきたいという想いも語ってくださいました。
本場の伝統製法にこだわった、もっちもちのマコーズベーグル。皆さんの朝食やランチの定番メニューに追加してみては?
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