• 秋田特集①
    雪深い地で生まれた郷土食
    昔ながらの味を守り抜く、こだわりの「いぶりがっこ」づくり

    【秋田県横手市】山楽里(さらり)

    今月は秋田のつくり手をご紹介します!

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     秋田県発祥の郷土食いぶりがっこ。皆さんは食べたことがありますか?「がっこ」とは秋田の方言で漬物のこと。いぶした漬物という意味でいぶりがっこと言うようになったそうです。パリパリとした食感と、口の中に広がる燻製の香り!その大人な味わいは、一度食べたらクセになります。
     今回は、秋田県横手市山内(さんない)地区で漬物加工・販売などを行っている、山楽里(さらり)に伺い、いぶりがっこづくりを覗いてきました!

    ■いぶりがっこのはじまり

     秋田の山間部は、日照時間が少ない上に降雪時期が早く、大根などを天日で十分に干すことができません。そこで、囲炉裏の上に大根を吊るして燻し、漬け込んで保存食にしたのがいぶりがっこのはじまり。雪に閉ざされた長い冬の間の貴重な食べ物として各家庭でつくられ、家によって漬け方も味も異なる、昔ながらの郷土食です。
     そんないぶりがっこの本場の一つが横手市山内(さんない)地区。山内では高齢化が進み、いぶりがっこの生産者も年々減少しています。伝統あるいぶりがっこの製法と味を守るために、地域の生産者と協力して立ち上げたのが農事組合法人「山楽里」。古くからの製法と味をそのまま受け継ぎ、保存料や着色料・香料を一切使用しない​こだわりの「山内いぶりがっこ」を製造しています。

    ■年に一度の仕込み時期

     あら、何やらふわ~っと煙が上がっています。ここは「いぶし小屋」。大根を煙で燻す、専用の小屋です。訪問時の11月は、まさに年に一度の仕込み時期!大根の収穫期でもあり、訪問の道中では、とても寒い中で大根堀りをしている農家さんたちをお見かけしました。
     さて、小屋の中がどうなっているか気になりますよね。いぶし小屋のシャッターを開けた途端、視界は一気に煙だらけに。煙が目にしみる・・!

     立ち込めた煙の中から姿を現したのは、天井からずらっと吊り下がった大根たち!その光景は圧巻です。通常は大根を縄で結わえて吊り下げるそうですが、つくる量が多いと縄を結うのも、吊り下げるのも一苦労。そこで特製フックを考案し、楽に大根を燻せるように工夫しています。
     この小屋では、最大約2000本の大根を燻すことができるそうで、太いものは2~4日、細いものは2~3日燻します。大根の太さはもちろん、火の上、小屋の端など場所によっても色付きや乾燥具合が異なるため、見極めながら燻製時間を調整する、まさに熟練の技が光ります。

    ▲農業組合法人 山楽里 代表理事の佐藤健一さん

     「広葉樹の薪だけで、黄金色っぽく燻すのがうちの特徴なんです」そう話すのは、山楽里の代表理事、佐藤さん。昔は、色が黒っぽく、ぐにゃっとしなるまで燻していたそうですが、これだと皮が硬くなってしまうのだとか。なので、より今の嗜好に合ったほどよい食感になるよう、”黄金色”に燻します。

     また、山楽里のいぶりがっこは、すべて自分たちの畑で育てた大根を使っているのもこだわりの一つ。数ある品種の中でも「香漬の助(こうづけのすけ)」という、水分が多くパリッとした食感が特徴の大根を使っています。

    ▲ちょうど収穫していた大根 きれいに洗ったあと燻される

    ■厳選した材料でじっくり寝かせる

     大根を燻したあとは、いよいよ漬け込み!

     こちらは「漬け素(つけもと)」。塩・砂糖・米ぬか・麹・蒸した米(秋田こまち)を使った秘伝のレシピで、この漬け素によっていぶりがっこの味が決まるそうです。添加物を使わず、砂糖一つとっても、厳選した素材を使うのがこだわり。「いいものを作るとなれば、いいものを使ってやる。そのために添加物も使わない」と佐藤さんは言います。

     できるだけ均一に漬かるよう、隙間がないように、樽の中に大根を敷き詰めて・・・

     漬け素と唐辛子をまぶして、その上にまた大根を敷き詰めて、最後に重石をのせます。大根の太さにもよりますが、ひと樽で600本~1000本ほどを漬けることができるそうです。漬ける期間はおよそ60日!10℃以上にならない寒い場所で、発酵の速度をできるだけ抑えながらじっくりと寝かせます。漬け込みの作業が終わるのは1月の年明け頃。雪が降っている寒い中で、漬け込んだ大根を水洗いし、いぶりがっこの完成です。

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     スライスして、そのままごはんやお酒のお供として味わうのはもちろん、刻んでおにぎりに混ぜたり、ポテトサラダに加えたり、相性抜群のクリームチーズと一緒に味わうのもおいしい!クセになる燻しの香りとパリパリ食感をお楽しみください。

    ▲いぶりがっことベーコンのクリームチーズ和えをクラッカーにのせておつまみに

    ■いぶりがっこで地域を盛り上げる!

     生産者の高齢化でいぶりがっこの生産元が少なくなっている一方、いぶりがっこの人気は高まっているそうで、地域の直売所にはいぶりがっこのファン、通称「がっこファン」が全国から集まるんだとか!2年ほど前から横手市との応援事業で行っている、いぶりがっこ作り体験も、多くのがっこファンを生み出す人気の体験です。
     また横手市では、いぶりがっこのオリンピックならぬ「いぶりんピック」という大会も年に1回開催されており、市内の生産者が自慢のいぶりがっこを出品し、出来栄えを競います。フリースタイル部門では、燻した食材であれば何でもOK。いぶりにんじん、いぶりがっこチーズなど、さまざまな創作メニューが登場するというから、気になる!!郷土食のいぶりがっこを活かし、町をあげて地域活性化にも取り組んでいます。

    ■おいしいと言ってもらえるものを作りたい

    ▲山楽里の皆さん

     「昔はもっとしょっぱかったんですけれども、今は塩を少なくして、燻す色も黄金色にこだわって、消費者さ合う商品をつくるっちゅうことをやってます。しょっぱかったよ、甘かったよ、そういう食べる方の意見を色々聞きながら研究してますね。手間がかかるけど、”おいしかった”と言ってもらえれば、”あ~やった甲斐がある”と感じますね。」
     “決して生産量は多くないけど、味はどこにも負けない”そう語る佐藤さんの姿が印象的でした。

     秋田の雪深い地域で生まれた燻しの漬物いぶりがっこ。昔ながらの製法と味を受け継いだ、こだわりの山内いぶりがっこをぜひご賞味ください!

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